第3話

朝めしを食べようと席に着いたときそういやこの世界に召喚されてもう二か月になるのかと気づいた。



流石に俺を含めたほとんどの生徒や先生方はこの世界での生活にも慣れ日々魔族との戦いに向けての訓練や文字の習得に勤しむ毎日を送っている。

俺の場合、朝は日の出とともに起きて朝食を食べたら午前中は文字やこの世界での常識を勉強し、午後は魔法の訓練や体力づくりに乗馬、野営の訓練をして夜クタクタになって自分の部屋のベッドに倒れこんで次の朝を迎えるという生活を繰り返している。



イヤー、最初の一か月は本当に地獄だった。

なにせ高校は何にも部活はやってないから少し走っただけで息は切れるは筋肉痛で一日中体が痛いはで散々だった。

まあでもこれは俺が魔法特化ということも関係しているようで、剣やらの近接系の武器に適性のあるやつが筋肉痛がひどいという話は聞かないし、むしろ召喚される前より身体能力が上がってて少しソイツらの訓練を見学させてもらったときは壁を走っている奴とかいてマジでビビったもんだ。


しかし今日は朝めしの時間だっていうのにいつもならごった返している食堂にはチラホラとしか人がいないな、どうした?とうとうこっちの世界の水にでも当たったか?


「・・・?

 今日は日曜日で訓練はお休みだからじゃないでしょうか?

 多分、ほとんどの召喚者の皆様は部屋でお休みになっているんじゃないですかね?」


食堂にいた給仕さんに聞くと不思議そうに答えてくれた。

そういやそうだった、俺はてっきり休みは明日だと勘違いしていた。

この世界では一週間がなんと六日間であり土曜日がなく、今日は日曜日でありこの日は訓練はなく各自で自由時間ということになっている。




早く起きちまったしどうするかな?

もう一回寝に行くってことも出来るがちょっともったいねえよなぁ?

ここは少しあたりを散歩してみるか。結構この城もデカいからまだ行ったことがない場所とかあるんだよね。






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予定変更、俺は野次馬になる。

なんのと言うとまあ竜崎君のハーレムデートのだ。

朝めしを食った後、予定通り城の中を歩き回ったんだがそこで竜崎君とそのハーレム御一行を見つけたんだよ。


やはりというべきか、竜崎君はこっちの世界に召喚されてからも他の召喚者その他大勢とは異彩を放ち、剣・魔法どちらにも適性がありながら魔法特化型よりも強力な魔法を放ち、剣ではもうこの国の騎士団長とも互角に渡り合うというマジもんのチートとなっている。


そして最も重要な事だが、ハーレム要員が増えた。

一人はこの国の王様の娘、つまりお姫様だ。


容姿はこの国ではごく一般的な金髪にクリッとした青い瞳を持った可愛い系美人さんで、経緯は不明だがいつの間にか竜崎ハーレムの仲間入りをしていた。



次に二人目、メイドさん。

この人は竜崎君のお付きのメイドさんらしく、こちらも経緯までは把握できていない。

ただ、まあ大きいということだけ言っとくか?

こんな事言うと女子からの信用を無くしそうだ。


最後に三人目、魔女っぽいひと。

この人のことはマジで何にも分からん。誰?



召喚される前からのハーレムにこの三人が合わさり総勢六人という日本だったらどこのプレイボーイだっというモテっぷりだ。もげちまえ



・・・だいぶ話はそれたが、まあ城の一階の廊下を歩いていたら扉の中から

「よし!!変装はこれで大丈夫だね!!」


って竜崎君の声が聞こえたと思ったら少し茶色が混じった地味っぽい服をきて町娘みたいな恰好になっているお姫様と竜崎君+他のハーレム要員が出てきたのだ。

俺が間一髪のところで隣にあった箒置き場に飛び込まなかったら鉢合わせるところだった。



「これで私がこの国のお姫さまだってことは分かりませんわね

 それでは竜崎様行きましょう!」


お姫様ルンルンだな。竜崎君の手を引っ張ってドンドン行っちゃてる


「あ、ちょっと待ちなさいよ!!」


一瞬遅れて他のハーレム要員がお姫様と竜崎君の後を追う

うん、クソ目立つな。黒髪のなんか高級そうな服着た異世界人の手を引く町娘にその後を追う五人の美女たち。


目だってしょうがないな。










・・・ひょっとして竜崎君がいる部屋で着替えたのか?

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