第1話
こんな状況でいきなり言われてハイ分かりましたと応じれるわけもなく
今だ自分たちが置かれた状況が分からず泣き叫ぶ者や、「俺TUEEEEE!」等意味不明なことを叫ぶむさい連中、白ローブに掴みかかり今すぐ自分の元居た場所に戻せという者もいて室内は大混乱に陥っていた。
あわや暴力沙汰になるかと思ったその時
「みんな落ち付くんだ!!
僕たちが今どんなことになっているかは分からないけど前にいる人たちは何か知っているようだ!!
ここはとりあえずあの人たちの言うことを聞いてみよう!!」
声のする方を見てみるとそこには入学当初から校内で注目の的となっている竜崎君が叫んだようだ
竜崎君は勉強、スポーツ、ルックスどれをとってもトップクラスの生徒が多い我が高校の中でもハイレべルな一年生であり、うちの生徒を不良集団から守った、火事で燃えている家の中から女の子を救ったなどという逸話を現在進行形で作っている。
オマケに彼の周辺には、彼の幼馴染(同じ高校だから召喚に巻き込まれているだろう)、ツンデレ風紀委員、ドジっ娘(?)養護教諭を侍らせ彼女のいない男子連中からは少し敵対心を持たれている
ちなみに俺は生まれてこの方恋人などというのはいたことはないが彼のことは敵対するというほどの感情は持っていない。もげちまえ
・・・やっぱり竜崎君ほどのデキル男というのは人を惹きつける才能というのが備わっているらしい
先程まで混乱を極めていた生徒たちは竜崎君の声を聞いて冷静さを取り戻したのか大人しくなった。
胸倉をつかまれ少しばかりローブが伸びている白ローブの案内に従って王のいるという場所にゾロゾロと歩き出した。
「有無を言わさずこちらの世界に召喚してしまい本当に申し訳なかった、勇者様方。」
王様の声がかろうじて聞こえてくる。姿は・・・見えん。なにせ全校生徒三百人がぎりぎり入るスペースのど真ん中らへんにいては立っているのがやっとだ。
・・・来る途中に通った庭やホールの様なところだったらこんなことにならないだろうに
「まず、なぜ我々が勇者様方を召喚したのか理由を話そう。
我々は勇者様方に魔族と戦ってもらいたいのだ。」
王様の話によるとこの大陸には人間やエルフ、ドワーフといった種族が住む光の土地と魔族という種族が住む闇の土地とがあるらしい。
この二つの土地は長年どちらからも干渉をしなかったらしいのだが、二年ほど前から光の土地に魔族の軍隊が侵入しはじめ、最も闇の土地に近かった2,3の小国が魔族の手に落ちたそうだ。
それ以降魔族はその2,3の小国を前線基地としてたびたび付近の国と武力衝突をしており周辺国家は対応に追われているらしい
そこで今俺達がいるトアル王国は代々王家に受け継がれている勇者召喚の儀式(この世界は聞いたところ剣と魔法のファンタジー世界っぽい)によって異世界から勇者を召喚して魔族と戦ってもらおうという結論に達し、俺達が召喚された。
異世界から召喚された者には元からこの世界の人間の域を超えた身体能力や恩恵が与えられ、トアル王国では国家滅亡の危機に瀕した際はこうした異世界人を召喚して世界を平和に導いてきたとか
誠に胡散臭い話だな
「いきなり召喚されて魔族と戦ってくれと言われて困惑しているだろう。
だが我々にはもうこの手しかなかったのだ。
この通りだ、私達を助けてくれないか?」
「王様!!勇者様方といってもこんな若者達に頭を下げるなどっ!!」
よく見えないがどうやら王様は俺達に頭を下げてでも魔族と戦ってほしいらしい
ぶっちゃけこの国も世界も俺にとっちゃあどうでもいいのだが、この集団の中には俺とは違う意見をお持ちの方もいるようで
「王様、顔をお上げください。」
やはり出てきたな、竜崎君
彼の性格だとまずこの国の為に戦うと言うと思ったよ、うん
「みんなも聞いていただろう?
この世界の人たちは困っているらしい!!
僕はこの人たちの手助けをしたいんだ!!みんなはどうかな?」
結果として生徒の大半は竜崎君の意見に賛成らしく
王様が泣きながら感謝していた
これっぽちも見えなかったがな!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます