終幕

 こうして元美弥狩司衆頭狩、右治代忠守白主銀正改め、ただの銀正とその許嫁、左厳義任流香坐、またの名を香流は、二人手に手を取って、何処いずことも知れぬ左厳の隠れ里へと旅立っていった。


 美弥を救い、しかし歴史に大きく名を残さず表舞台から消えた男女のその後をよく知る者は、多くない。


 ただ、互いを深く信じ、深く求めて寄り添った二人の物語を、当時を知る一部の者は、世の片隅で細々と語り継いでいったという。






 その嫁入り物語、のちにこう語られる。



 『比肩の花嫁』と。




                             (閉幕)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

比翼の花嫁 壺天 @koten-3

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ