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 ◇


 ヘアメイク&ファッションショーは大盛況に終わった。


 beautiful magicはグランプリに返り咲き、beautiful loungeは惜しくも準グランプリに終わった。


 ステージを降りた三上は、香坂にこう言い放った。


「来年は必ず蓮さんを倒します」


 その言葉に香坂は口角を引き上げ、二人は固い握手を交わす。


「波瑠、楽しみにしてるぜ」


 二人の友情に胸が熱くなる。


 控え室に戻った私を、香坂は逞しい腕で抱き締めた。


「れ、れ、蓮さん!? おめでとうございます」


「俺だけの実力じゃない。類がいたからグランプリが獲れたんだ。類、何があっても波瑠だけには、渡さねぇからな」


「えっ? えっ? 蓮さん、それって……?」


 言葉を遮るように、重なった唇……。


 ――あの日、脳裏に浮かんだシルエットと重なる。


 商品部に異動する前に、フェイシャルエステの特訓中に香坂にキスをされ、脳裏に浮かんだのは、三上でも鳴海店長でも、諸星でも恭介でもなかった。


 このイジワルな香坂蓮だった……。


 商品部に異動したあとも、あの唇の感触とあの指先の感触を忘れたことはない。


 もう一度その時のシルエットを確かめるために、私はゆっくりと瞼を閉じた。


 ◇◇


 休日になると、beautiful magicには地方からも予約客が訪れる。


「あった! beautiful magic! 凄い! 私は香坂蓮さんに、雑誌と同じ髪型にしてもらうんじゃ」


「私は類さんにフェイシャルエステしてもらうんよ。類さんは同じ広島出身で、憧れの存在じゃけぇね。いつか私もエステシャンになって、東京で働きたい」


 二人の女性が、羨望の眼差しでbeautiful magicを見つめた。


 ◇



 ――美しい男達に翻弄され、女は妖艶に光輝く。


 そして閉ざされた未知の扉を開くのだ。


 ドキドキするような……。


 美のマジックを追求するために。




 ――今日も私達はお客様に美を提供する。


 より美しく、より華やかに。


 beautiful magic、開店。







 ―THE END―

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その指先に魅せられて ~beautiful magic~ ayane @secret-A1

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