エピローグ―一夜のキリトリセン―

 23時58分46秒――

 青年はグイッと缶ビールを飲み干した。


 テーブルの上にひらいたノートパソコンには、『ヒトヨ』というホームページが表示されている。真っ黒な画面を、白い点線が上下に分断している。そして、その点線を縦にまたぐようにカタカナで『ヒトヨ』と書かれていた。あとは上部に検索窓があるだけだ。そこにはすでに『一夜のキリトリセン』と打ちこんである。あとは0時0分0秒ぴったりにクリックするだけである。


 生と死をわけるというキリトリセン。


 最近会社でも話題になっている、都市伝説のようなものだ。


 もちろん、青年はそんな話は信じていなかった。隠しコンテンツが見られるとか、特別なメッセージが表示されるとか、そんな『お遊び』だろうと思っている。


 明日は、怖がりなくせにその手の話が大好きな彼女とのデートだ。いい話題になるだろう。


 23時59分50秒――


 あと10秒。


 さて、なにが起こるのだろう。

 青年は期待に胸をふくらませながら、マウスに手をかけた。




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 この世界には、生と死をわけるキリトリセンがあるという。


 進むか。

 とどまるか。

 生も死も運次第。


 SNSを中心に、そんな噂が広まっている。




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     (了)



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一夜のキリトリセン【SNS編】 野森ちえこ @nono_chie

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