詩のような文体で、心情がしっかりと描かれています。絶望のまっただなかにいるけれど、文体のおかげで苦しさは軽減されています。それでも主人公の感情はありありと想像できるのです。※ああ、そっちを選ぶのですね。でもそこは地獄だから、もっと楽な絶望に移動したいと思ったら逃げてくださいね。
幸せな人にもその人なりの絶望がある。それはかなわなかった子供のころの夢であるとか、何となく感じる閉塞感とか、退屈な日常であるとか…他人から見るとなんてつまらない悩みかと思うかもしれない。本人もそんなことはわかっているから人には言えないけど、やっぱりつらいものはつらい。そんな気持ちになる短編。短いけどしっかり作者特有の外連味を詰め込んでいる。おもしろかったです。
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