第13話 終わり

前略


 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 俺は今国外逃亡しています。理由は簡単です、あの戦いの後気絶してしまった俺は一週間ほど目を覚ましませんでした。何気に凄まじい精神疲労がありましたからその辺りは仕方ないのですがね。

 あの戦いの後勝利宣言をしていなかった事もあり勝負は気絶した後も続行、即効性の祭民約ではそんなに時間が掛からず起きた様で、あの女勝利宣言しやがったよ。


 それからはあれよあれよと言う間のことでした。

 俺が目を覚ましたら、何故か結婚式は既に終わっていると言う予想どころかありえなさ過ぎる状況。まだ結婚できる年ではないが式だけは済ましておこうと言うものだったが、日本中にそれを周知された俺の絶望はどれほどのものだっただろうか。


 その後躊躇うことなく初夜と着たもんだ。

 全力で逃げ出しました、不動明王の追跡が来るとは思わなかったけどどうにか避して海外にいますが、なぜか他の国で俺の顔は有名らしくすぐに場所がばれます。


 なんか各国の諜報機関が俺を探しているようですね。

 だけど今は優雅に昼間のティータイム、英語とか喋れなかたけど言霊使いだからその辺はどうにでもなるしね。


「それでだなぜお前は俺についてきてるの」

「いやそこは夫婦だからでしょう」

「どう考えても俺の勝ちだろうが、何で俺が負けになるんだよ」


 一つの問題があるとするならきっとこいつだ。

 鷺宮明、こいつの追跡だけは結局かわせなかった。だが酷く疲れている俺をよそに、目の前の女は平然と言い張るのだ。


「たしかに事実ですが、ようは勝ったものがちです。私が負けたんじゃない貴方が自爆しただけ、勝てる気かいがあるなら私はもぎ取りますよ」


 つまりは俺の失態。俺が教えに教えた、あいつの本道なのに、こいつは平然と俺の戦い方まで吸収しやがった。

 確かに俺があいつに不動明王の戦い方を教えたのは、勝てる目が増えるからと言うのもあるが事実だったのに。


 犬のように付きまとうが、最近はもう諦めつつある。

 人生は時として諦めが必要である事を色々と再認識させられる出来事ばかりが続いている。結局は手を出したと言う事実もあるし最早逃げられないのだろう。

 慣れてくると可愛いと思ってくるから世の中はろくでもない。多分だがこういうのをストックホルム症候群と言うのではないだろうか、いや違うか。


「いつになったら日本に帰るんですか」

「お前の親父達があきらめるまで」

「なら一生ですよ。そもそも私は貴方に一生付き添うんですから、キチンとした挨拶ぐらいしてくださいよ」


 俺はもう色々と負けてしまった気がする。

 この一週間後俺は結局日本に帰って、写島を継ぐことになったりとか色々としたくないことばかりさせられる事になる。


 後ばーさん連中も結局最後の闘いで相打ちになったが満足そうな死に様だった。

 なんか面倒ごとばかり抱えているが、慣れてみると意外と楽しいのかもしれない。とりあえず松永は未だに娘を進めることをやめて欲しいし、ホモは結局中国の方に放り出しておいたから別にいいだろう。


「平穏無事は難しい」


 本当につくづくそう思う日々であるが、多少は楽しい事もあるのでチャラにして笑っていくしかないのだろう。それぐらい楽しんでも俺は許されるはずだ。

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俺はそれほど強くない 玄米茶 @taiyoukou

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