上品に壊れた、美しいこども。

犬怪さんの小説はただごとではない。
ああ、影響を受けてしまう。
気軽に入り口を覗くと、ぐいと頭を掴まれる。
そして、そのまま目をがっと開かされ、その一部始終を見ずにはいられない。

そんなことを書くと乱暴に聞こえるかもしれない。そんなことはない。秩序のなさや不条理さや理不尽さすべてがどこか上品なのだ。
きっとそれは犬怪さんの「影響を与えてしまうほどの」上品さからくるんじゃないだろうか。

時折ハッとする言葉に出会い、ああ、小説だった、と思い出す。

これは「小説」だ。言葉でできたものだ。

読み終わってから、世界がすべて言葉になっている。

美しいことば。

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