紫の子

作者 南雲 皋

近代世界とファンタジー世界の間で繰り広げられるやさしい神話

  • ★★★ Excellent!!!

 イルルクって男の子が火を操れる訳ですよ。
 なんかこうちょっとぽややんとした所のある子でね、マフィアに保護されて火葬人の仕事をしている訳です。まぁボスとかに大切にしてもらっていてね、それはもうかわいがられているの。愛され系って奴ですかね。

 けどまぁ、可愛い子には旅をさせろというもので。
 やっぱ火を操れるのってちょっとなんかあるよね、ヤバイよね、というか火葬した時にその人の死んだ直前の景色とか見えるんだよね、ヤバイよね、という感じにヤバみが加速して行き、いつの間にやら街を出て旅に出る。
 行く先々でいろいろなものを見聞し、世界を広げ、そして自分が何者であるかということに向き合っていくことになるイルルク。
 彼が、最終的にたどり着いた場所は、そして彼の秘密は――。

 ひとこと紹介に書いた通りだYO!!(ひでえネタバレレビュー)

 神話というのは人類史に紐づいて、その信仰地域の価値観やら生活観はもとより死生観さえも反映したものだと僕は捉えています。そういう所に近代的な価値観(マフィアだとか)やファンタジー(魔法)、またシリアスさ(割と展開がえぐい)を持ち込んで、成立させるのはなかなかセンスが要求される内容かなと感じています。そういう意味で、作者さんのセンスが存分に出ている作品ですかね。

 ちょっと変わった新しい神話。
 近代的で、残酷で、けどやさしい神話。

 そういうの好きな人には刺さると思います。

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★★★ Excellent!!!

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仄暗く淡々… 続きを読む

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