赩の死神、蒼の大鎌ふるう時、怪異は駆逐され銀狐の運命が大きく動き出す。

怪異が支配する矢染市。そこは紫の壁に閉ざされ現実と隔離された戦慄の世界だった。
そこで暮らす人々は怪異に戦慄し、明日すらも見いだせない過酷な環境下。人は怪異に抗い明日を見出そうと懸命に戦い抜くが、風前の灯火であろう。
しかし、苦境に立たされる人々を救う存在がいる。それは赤髪の死神。青の大鎌をふるい怪異を絶ち、華麗に空を舞う姿は人々を魅了してやまない。正に救世主と言えるであろう。
そんな死神に惹かれる者がいる。それは狐の少女である。二人は偶然出会ったことで運命に導かれるように互いに惹かれ合いそして、共に矢染市と人の運命を動かしていく……。

本作品は、一つの和風ファンタジーの形と言えるのではないだろうか。
怪異に侵食され閉ざされた戦慄世界の確立。それは綿密までに練られた世界観と言え、そこで繰り広げられる怪異との闘い、そして怪異に翻弄される人間模様を見事に醸し出せている。
その反面、ライトノベルらしくお手軽に読み進められ、ユーモラスなキャラクター達が生み出すコミカルな言動は笑いを誘う。それは見どころの一つと言えるのではないだろうか。
特記するべきは、戦闘描写の精密さ。想像が容易く、臨場感あふれ、まるで映像を見ているようにすらりと頭の中に浮かび上がる。
見どころが満載の幻想怪異譚を是非とも皆様に堪能してほしい。
一言で言えば、読み応えがある現代ファンタジーです。是非ぜひ、手に取ってお読みください。凄く、面白いですよ。お勧めですね。

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