丁寧に編み込まれた異色のファンタジー

「死を肯定する」という、ある種病的な主人公の設定に惹かれました。
 その理由も、何故そうなってしまったのかの説明も読んでいて納得させられるだけの筆力があり異常な思考でありながら、読んでいて実に自然に受け止められます。
 死ぬ事を魅入られながらも、その死に抗うというストーリーなのですが、その構図が実に面白いです。
 貼られた伏線もラストまでできちんと回収されており話の筋で不条理を感じる事も特にありませんでした。
 そして何より描写が綺麗です。
 街並みやちょっとしたアクセサリーやキャラクターの仕草や服装等、風景や情景が実に丁寧に書かれています。

 死に魅入られた主人公の旅路を描いた本作。
 その結末まで実に楽しく読むことが出来ました。

 面白かったです。

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