概要
遺志残し、それは死の念を読み取る存在のこと。
ダーズエで遺志残しに就く少女グリュテは遺志残しの任務についていた中、奇妙にも死に焦がれている自分に気付く。
遺志残しが稀にかかる『告死病』と宣告されたグリュテは、死に損ないの騎士セルフィオと共に最後の任務の旅へと旅立つのだが……。
小説家になろうでも連載(なろう版完結済み)。
第七回ネット小説大賞一次突破作品。
※同名義で連載停止中の『玻璃の娘 黒の王』と世界観は一緒ですが、これのみでも読めるようにしております。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!死に魅了されながらも紡がれた恋が素敵でした。
人の最期の瞬間がこの世界では光が空へ登っていく光景で描かれる……、
って言えば少し幻想的で読んでる私としても綺麗って思うかもって感じていたのですが、現実世界の人の最期、例えば火葬の出棺の時をイメージしてほしいのです。
もし、その誰かと誰かの最期の別れのシーンを恍惚とした表情で見惚れているような人が居たら『なんでそんな表情をしているんですか?』ってなると思うんですが、
その表情や感受性が『病の症状』だったらどう思いますか?
死への魅力を感じ、どんどんと己の身体を傷つけ蝕んでいく。そんな病がタイトルに書かれている『告死病』という病です。
そんな病にかかった少女のが物語の主人公で、死にぞ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!出来ることなら私は、この物語を読みたくはありませんでした。
でも、読み終えることが出来てとても幸せだと感じています。
言葉一つ一つが色衝いていて、短い中に鏤められたいくつもの詩篇が繋がっていくような、心地よいひと時でした。
病のために死に惹かれていく、生を厭っていくグリュテの緩やかな推移と、
その進行に絡めて紡がれていくセルフィオとの淡い旅程は落陽から夜明けに至る白む空とその下で照り返す海原を眺めているようで、風に揺れて波立つ水面のように心が躍り、弾み、そして浮き沈みを繰り返しました。
散ることを知っても咲かない花の無いように。
そうですね、終わりが来るとわかっていても、読み進めずにはいられませんでした。
こんなに美しい物語があると、今では知…続きを読む - ★★★ Excellent!!!丁寧に編み込まれた異色のファンタジー
「死を肯定する」という、ある種病的な主人公の設定に惹かれました。
その理由も、何故そうなってしまったのかの説明も読んでいて納得させられるだけの筆力があり異常な思考でありながら、読んでいて実に自然に受け止められます。
死ぬ事を魅入られながらも、その死に抗うというストーリーなのですが、その構図が実に面白いです。
貼られた伏線もラストまでできちんと回収されており話の筋で不条理を感じる事も特にありませんでした。
そして何より描写が綺麗です。
街並みやちょっとしたアクセサリーやキャラクターの仕草や服装等、風景や情景が実に丁寧に書かれています。
死に魅入られた主人公の旅路を描いた本作。
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