第12話 プロフィールカード交換
話題を変えたい。
「金田さんは趣味はありますか?」
「趣味はプロフィールカードに書いたよお」
「プロフィールカード?」
「ああ、渡してなかったねえ。これだよお」
金田さんが渡してくれたカードには、金田さんの名前・年齢・年収・趣味等が書かれてあった。えっ、年収一千万?!
「なんですか、このカード?」
「受付で渡されてるはずだよお」
「えっ、そうなんですか?」私は胸ポケットに手を突っ込んで探してみた。
「あっ、もしかしてこれかな……。」
ヨレヨレになってしまった空欄のプロフィールカードが見つかった。
「お互いのプロフィールカードを交換してそれを見て会話をするんだよお。今日の司会者は新人さんだったのかなあ。なーんにも言ってなかったねえ」
「はい。あの、今これ書いちゃっていいですか?」
「いいよお。適当にチャチャッと書いておけば大丈夫。書きたくないところは書かなくていいからさあ」
「すみません、ありがとうございます!」
えっと、名前は田中藍、年齢27歳、年収いくらだ? 暗算できないから空欄にしよう。
職業は事務員、趣味はプロレス観戦っと。得意料理……ええっ、あんまり料理しないんだけど……。いいや、チヂミで。昨日作ったし。……料理教室通わないと。
お酒・タバコ・ギャンブル・ペットの欄があった。
えーと私は、
お酒は、ときどき。
タバコ、吸わない。
ギャンブル、しない。
ペット、飼ってない。
よし、書き終わった!
「書き終わりました。どうぞ!」
金田さんにプロフィールカードを見せた。
「ありがとうねえ。へえ、プロレスが好きなのかあ」
「そうなんです! 金田さんは年収1000万なんですか?」
「そうだよお。会社経営してるんだあ。」
ぴんぽんぱーん♪
司会者が説明する。
「三分経ちましたので、男性は移動をお願いしまーす。プロフィールカードは自分のを持って移動してくださいねー」
「3分は早いねえ。では失礼」
「あっ、はい。ありがとうございました」
ふうー。ホントにあっと言う間だな。金田さんの会社ってどんな会社だったんだろう。まあいいや。さて、次はどんな人かな。
紫の覆面の人が入ってきた。
「あ、藍さん」
「
紫藤さんが椅子に座って、プロフィールカードを交換した。ああ、やっぱりこの紫の覆面、素敵ぃ!
プロフィールカードを見る紫藤さん。
「へええ、チヂミ好きなんですか。」
「あっ、それは……。いやあ、チヂミはいいですよねー。混ぜて焼くだけであんなにおいしいものができあがるなんて……」
なんで私チヂミって書いちゃったんだろう。恥ずかしい。カレーとか肉じゃがって書いとけば良かった……。
「休みの日は何してるんですか?」と紫藤さん。
「えっと、プロレスの録画したのを見たりとか家にいることが多いです」
「インドアなんですね」
「そうなんです……」
家でゴロゴロしてるのが趣味です。なーんて言えない。そうだ、紫藤さんのプロフィールカードを見よう。
28歳。1個上だ。タバコは吸わない!
私は男性への希望はちゃんと働いててタバコ吸わない人がいい。えっ、薬剤師さんなんだ!
「紫藤さん、薬剤師さんなんですね。私、薬局の事務で働いたことありますよ」
「えっ、そうなんですか」
薬局トークで話がはずんだ。
ぴんぽんぱーん♪
「ううっ、もう終わり……」
3分間は、あっと言う間だ。
「じゃあ、藍さん。僕、藍さんの番号書きますから、藍さんも僕の番号書いてくださいね」
「えっ、あっ、はい!」
紫藤さん、私の番号書いてくれるの? うれしい! あっ、でも皆に言ってたりしない?
こんな感じで男性全員と話し終わった。
番号札1番の青の覆面・蒼さんはタバコを吸うことがわかった。私はタバコを吸う人は嫌なのでナシ。
つ、疲れた。疲れた……。初対面の男性、15人と話し終わった……。とりあえず全員にプロレスの話しといた……。
あっ、あれ? 水色の覆面・水樹さんがいなかったな。なんで? 食べすぎてお腹壊して途中で帰ったとか?
「それでは、みなさーん。これから紙を配りまーす。その紙にまずご自分の番号を記入してくださーい」
紙が配られて、自分の番号を記入した。
13っと。
「書けましたかー? それでは気に入った方の番号を第1希望から第3希望までお書きくださーい」
えーと。
第1希望は紫藤さん 12番
第2希望は水樹さんだったんだけど
いなかったから番号わからない!
……仕方ない。空欄にしとこう。
第3希望は緑の覆面・緑川さんも喫煙者だったから除外。
第1希望しか書いてない。でも他の人達には全然ピンとこなかったから、空欄で出そう。
紙が回収されていった。
ふう。カップル成立できてるかな。でもなんで水樹さんいないんだろう。
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