第13話 水樹さんはどこ? カップル発表

 男性達は椅子を持って会場の反対側に移動している。女性達とは離れたところで結果発表するそうだ。


 うーん、やっぱり水色の覆面・水樹さんが見当たらない。


 他にも水色の覆面の人がいたけど、その人は清さんだった。


 水樹さんはグレーのスーツで中に水色のシャツを着ていて、むちっとした体型。


 カップル成立発表まで待ってるのソワソワするなあ。隣の由黄ゆきちゃんに話しかけちゃお。由黄ちゃんは12番で私の隣に座っている。


 私は隣のパーテーション(仕切り)をのぞいた。


「ねえねえ、由黄ちゃん……あっ、スミマセン。間違えましたっ」


 由黄ちゃんじゃない人がいた。間違えて反対側をのぞいてしまった。


「ん?」とその人が振り返った。


「あっ、水樹さん。」


 水色の覆面で、グレーのスーツで中に水色のシャツ、むちっとした体型の水樹さんがいた。


「あー、さっきの覆面好きの人」


「なんで水樹さんがここに?」


「なんでって、14番だから」


 水樹さんが自分のバッジを指さした。


 さっきはアイスティーに落として見れなかったバッジの番号だ。

で14って書いてある……。男性の番号は青。女性は赤。ってことは……


「えっ、水樹さん女の人だったの? 男の人だと思ってた」


「あー、よく言われるよー。今日もたくさん言われた」


「私、水樹さんの番号書こうと思ってたのに」


「男の14番は白の覆面で背の低い人だったよ」


 白田さんだな。あぶない、白田さんとカップリングになるところだった。って白田さんが自分を選ぶと思っちゃってる私。


「女同士でカップリングはないなあ。婚活パーティーだし」


「そうだよね、あはは」なーんだ、私ったら婚活パーティーで男性と間違えて、女性と仲良くなろうとしてた。

 さっき、朱理先輩が私と水樹さんが話してるところを邪魔してきたのは、水樹さんが女性だってわかってたからかな?


 ぴんぽんぱんぽーん♪


「皆さーん、お待たせしましたー。カップリングの結果は封筒に入れてお渡ししまーす」


 係員が各参加者に封筒を渡す。緊張するなあ。紫藤さんとカップル成立できてるといいなあ。


「カップル成立の方は会場に残って、残念ながら不成立の方はここで解散となります。ではどうぞ封筒をお開けください」


 渡された封筒を開けた。


[13番のあなたは12番の方とカップル成立です! おめでとうございます!]

 と書かれていた。


 おおっ! 12番の紫藤さん、本当に私を選んでくれたんだ。よかった!


 隣から水樹さんが「じゃあ、うちの雑貨屋よかったら来てね。通販もやってるからよろしくね」と言って帰っていった。


 水樹さんはカップル不成立か。婚活じゃなくてケーキ目当てだったんだな。

 由黄ちゃんが隣のパーテーションから顔を出して話しかけてきた。「藍さぁん。私、橙矢さんとカップル成立しちゃいましたぁ」


「由黄ちゃん、おめでとう。私もカップル成立したよ」


「おめでとうごぜぇーますぅ」


「朱理先輩はどうだろう」


「不成立だったわ……!」

 と怖い顔をした朱理先輩が

[今回はカップル不成立でした。]

 の紙を見せながらやってきた。


「先ぱぁい、ドンマイですぅ」


「まったく、この私の良さが分からないだなんて……!」


 司会者が指示した。

「それではカップル成立の方々は、髪型やメイクを直してからまた会場に戻ってきてください。バッジは付けたままでお願いします」


 トイレで朱理先輩が髪型とメイクを直してくれた。カップル成立したのは私と由黄ちゃんとピンクの覆面・さくらさんだけだったようだ。

 ピンクの覆面・さくらさんの友達、紫の覆面・すみれさんが

「さくら、おめでとう。私、先に帰るね……」と言って背中を丸めて帰っていった。

 すみれさんはカップル不成立だったんだな。もしかして、さくらさんと目当ての人がかぶっちゃってたりとか? 友達同士で来るとそういう気まずいことにもなるんだな……。って全部私の勝手な想像だけど。


「覆面って暑いのね〜。髪も崩れるし、メイクも直さないといけないし、覆面婚活って流行らないわね」と朱理先輩。


「覆面集めるのも大変そうですよね」と私。


「ファンデーション塗らないで覆面被ってよかったですぅ」


 早く会場に戻らなきゃ。

























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