魔女がいた。いつも側に

主人公ナオのもとに、ある夏、魔女がやって来ることから物語が始まります。

可愛い魔女との同棲生活。
一夏の想い出。
うひひな展開。

……と、おもいきや。この魔女、リリス。
試験のために、こっちの世界にやって来たのです。
その試験に強引に巻き込まれるナオ。
何故か苦労しているのは、ナオ。え。試験を受けるのはリリスではないのか。
ま。そこはおいといて……。

リリスは言います。
「試験が終わったら、わたしに関する記憶が消されるから」

つまりですね。

どんなに恋しく思おうと。
どんなに愛しく思おうと。
離れたくないと願っても。

試験が終われば、強制的に記憶は消され、ナオはリリスのことを、これっぽっちも覚えていないわけです。

……このねぇ。
この「切ない」感じや、「儚い」感じが、この作者様、巧いんだなぁ。
同棲生活をコミカルに描いていくのに、不意に、どん、と突き放すんですよ。

「でも、忘れるんだよ。リリスのこと」

キャラクター達の生活を楽しく読んでいるのに、作者さんが時折呟くんですよ。で、我に返るんです。

そうだよ。これ、『結末ありき』の話なんだよ、と……。

今回、作者様の本領が十分に発揮されたこの作品。
ラストは、あっと驚く結末が用意されています。
是非、『魔女と高校生男子』の一夏の思い出に、おつきあい下さい。

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