その幻想薬草店には、魔女と魔術師と黒猫がいます。いつでもどうぞ。

魔女のノラは非常にポンコツ。
ちょっと歩いたら肘を激しく打ち付けてもんどりうち、その拍子に調理器具を倒して頭部殴打。昏倒することなど日常茶飯事。しかもコミュ障。

そのノラの弟子である黒猫のリアは非常に優秀で、魔法を使って主のフォローをするものの、そもそも猫手で肉球があるためにできないこともあったり。

ノラのお兄ちゃんである上級魔術師のベネは優秀なのに性格と服のセンスに難がある。

そんなふたりと一匹が経営するお店には名前がない。
ただ、「ああ、あの幻想薬草店ね」とみなが周知している。そんなお店。


そのお店にはいろんな悩みを抱えた人が相談のためにやってきます。

才能はある(はず)なのに、時間がなくて絵がかけない芸術家。
オペラ歌手の妹を持つ姉。
夫の愛人の子を育てなくてはならなくなった夫人。

彼らは自分なりの問題をノラたちに語り、そして解決薬を手にして家に戻るのですが……。

さあ、それがどのような結果になるのか。

物語全体は童話風になっていてほんわかと進みますが、時折ピリリと苦みや辛さを残す読後感があります。
それがたまりません。いいアクセントになっています。

また登場人物たちも非常にユニークで、それぞれキャラが立っています。
私のお気に入りはベネ! なんてったってベネ!

ぜひ、年明けにこの幻想薬草店に、みなさまこぞってお越しくださいませ。