一緒に世界を駆ける共感しきりのブラックバイト奮戦記。

 あらすじには、
 >甲斐の「世界を駆けるブラックバイト奮戦記」が始まる!
 と書かれています。
 実際、物語の冒頭は
 
 >俺の肌は日本の寒風ではなく、どこだか全くわからない国の空気にさらされていた。

 とあって、「シリアかレバノンあたり」に主人公の甲斐健亮はいて、「「能力者」がテロ組織に売り飛ばされるのを、阻止するため」に奮闘しています。

 読み進めていくと分かるのですが、本当に色んな国へ行きます。
 まず、「ストーンヘンジ」のあるイギリス、イタリア・シチリア島――よりもさらにアフリカ寄りにある、ランペドゥーザ島、アメリカ・インディアナ州の州都、インディアナポリス、オーストラリア・シドニー……。
 
 凄いなぁ。
 地名が出る度に僕はスマホで検索して、こんな所かぁと思いながら読んでいました。ちょっとした疑似旅行気分です。
 オーストラリア・シドニーでコアラが出てきた時は、嬉しくなっちゃいました。
 コアラだ!って。

 にしても、本当に色んなところに行っているなぁ。
 僕も昔、高校生を対象にした学校説明会の補助スタッフというアルバイトをしていて、いろんな県の高校や文化センターみたいなところへ行っていました。
 いや、ホント、移動時間って最初は楽しいんだけど、途中からしんどくなるし、帰ってきたらヘトヘトになるんですよね。
 僕は国内でしたが、海外となると、もっとしんどいだろうなぁと思うと、自然とがんばれという気持ちになります。
 毎回、飛行機だし。
 飛行機もなぁ、結構きついんだよなぁ。
 席にもよるんだろうけど。

 という変なところで、共感して僕は「コード・オリヅル~超常現象スパイ組織で楽しいバイト生活!」を読んでいたので、異端な読者でしょう。
 すみません。

 ついでに言うと、主人公の甲斐健亮は途中で、女子大でもアルバイトを始めるのですが、僕も高校時代に習い事の関係で半年くらい放課後に女子校に通う時期がありました。
 って言うと、時々羨ましがられるのですが、これがめっちゃ肩身が狭いですよ!
 もう、甲斐健亮の境遇には共感しかありません!
 ホント、がんばって!
 
 もちろん、根本的な部分で甲斐健亮が抱える超能力による悩みや、組織によって抱えてしまう秘密、更に自分の出生の謎。
 そういう全てに共感ができる訳ではありません。
 なので、世界を駆けて奮戦して、少しずつ成長していく甲斐健亮が、どんな結論や夢を見つけるのかを楽しみにしています。

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