脳内で黒猫を飼うことにした ←イマココ

 ……………生体認証完了 → ログイン完了


 ・気絶したハルの演算能力を利用したフューが、猫の手を駆使してネペンテス・デジタリシスを破壊。

 ・アキがハルを、なつが黒猫の身体を抱えて宇宙船に帰宅。

 ・無事、ハルが意識を取り戻す 今ココ


 「こら! 勝手に三行でまとめるな!」


 フューが不機嫌に言う。僕の脳内で。三行ぽっちにまとめられるのは自尊心が許さないらしい。


 僕はどうやら、気を失っていたみたいだ。ファンサポーターズ・ネットワークとの接続も切断されてしまっていたらしい。すまないね、心配をかけて。通常ならAIが自動処理を続行してくれるんだけど、なんせフェリックス・ネットワークの確保にだいぶ能力を割いていたので、負荷が過ぎたみたいだ。


 今のフューは僕の演算処理の一部を使って存在している。僕の意識がなかった間に、黒猫を使ってネペンテス・デジタリシスを破壊した。黒猫たちは電子生命ではなかったので、ネペンテス・デジタリシスに対抗できた。フューを助けた僕が共同戦線で助けられたってわけだ。


「……なぜ俺を助けた」


「? 僕の方が君に助けられたんだろう?」


「あの時、お前はお前で手一杯だった。俺を回収した時でさえ、俺がお前のネットワークと黒猫たちを使ってネペンテス・デジタリシスを倒すとは思っていなかったはずだ。なぜ回線を開いて近づくような危険な真似をした?」


「ま、あんたが僕のサポートフォロワーになるってのも面白いオチかなと思って」


「なっ……なんで俺がお前のサポートフォロワーにならにゃならんのだ!」


「いいじゃん。泣いて謝ってあげるからさあ」


「お、お前にはプライドというものが無いのか!」


「そこそこ役に立ってくれよな」


「俺を誰だと思っている! この大宇宙を統べるフェリックス・ネットワークの……」


 ネペンテス・デジタリシスを仕掛けた何者かについては、今ロケット団のメンバーが調べてくれている。そのうち、何かわかるだろう。それまでは……


「ごはんだよー!」


 なつが笑顔でねこまんまを持って来た。アキはもうもぐもぐ食べている。


「やだよ! そんな猫の餌、僕、食べないからね!」


「えー」


 なつとアキとフュー(脳内)が三人同時に不満の声を上げる。


「ハルが寝てる間は、フューが美味しそうに食べてたよ」


「知らないよ! 第一、フューも食事の必要ないだろう?」


「だが、なつの猫まんまを見るとどうしても美味しそうで」


「猫まっしぐらー!」


 ・フェリックス・ネットワークを吸収して、アキのロケット団はますます勢い盛ん

 ・フューを罠にかけた何者かについては調査中

 ・脳内で黒猫を飼うことにした ←イマココ


「飼うとか言ってんじゃねぇ! あと、三行でまとめるな! 」


「よろしくな、脳内黒猫」


「その『非実在彼女』みたいな呼び方やめろ!」


Fin

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この壮大なスペースオペラを三行でまとめると もがみたかふみ @mogami74

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