「線の見えない子ども」は、読んでいて心が揺さぶられる作品でした。この物語は、一見普通の母子の日常の一コマを切り取っているように見えますが、実はもっと深いメッセージが込められています。
主人公である息子の純粋な視点と、彼が持つ特別な感受性が、私たちに普段は見過ごしてしまう世界を見せてくれます。社会の「線」、つまりルールや常識に捉われずに、自由に世界を見る子どもの目が、新たな発見と驚きを提供してくれます。
母親の役割も印象的です。彼女の愛情と、息子を守るための苦悩が繊細に描かれており、読む者の共感を呼びます。彼女の眼を通じて、子どもと社会との間に存在するギャップを感じ取ることができます。
この物語は、単なる日常の描写にとどまらず、人間の感受性、社会の枠組み、親子の絆について深く考えさせてくれます。読む者によって受け取り方が異なるでしょうが、それぞれの解釈がこの物語の豊かさを物語っています。
カクヨムの自主企画「ユキナが読む、あなたの短編小説」へのご参加、本当にありがとうございます😊!
「7歳までは神のうち」という言葉、あるいは「七五三」という文化をご存知でしょうか?
ほんの数十年前までは今より食糧が少なく医療や衛生環境が不十分なのが当たり前の時代でした。そんな中で子どもというのは非常に無くなりやすく、7歳までの死亡率が高かったのです。そのような時代の中で3歳、5歳、7歳は子どもが健やかに育った節目の歳として祝われ、その後の健やかな成長も祈願されてきました。
このように子どもというのはいわば極めて存在が希薄で世界との境界が曖昧ないきものです。
この作品では(テーマは違いますが)、存在としての子どもの危うさやイノセントさが見事過ぎるほどにえぐり出されています。
こんにちは!
「1人1作品優しくコメントする」企画の主催者のMegです。企画に参加いただきありがとうございます。
いやあ、すばらしい作品を読ませていただきました。
まず書き出しから秀逸ですね。パレードのような息子の足取りに葬列のような母親の母親の足取り。
それから続く、どこか幻想の世界を生きている息子と、現実を生きている母親のキャラ。(この字数でキャラをちゃんと魅せてくるのは技量がないとできません)
息子の世界に映る、小さな死、瞼にかかる鱗粉、血しぶきをあげ落ちてくる龍など、『向こう側』の世界。対照的に母親の定められた車道などの『こちら側』の世界。
そして親子という関係から、相反する2つがいやがおうにも同じ世界に共存しなければならない苦しさ、切なさ。それでいてラストはほんのり優しい。
テーマ性もありつつ、3000字以内でこれだけまとめるのは相当力がないとできないと思いました。
文章も美しく、思いがけずすばらしい作家さんを見つけてしまいました。
文句なしの逸品でした!