蝋燭の火を移して

 主人公の母親は、常に蝋燭が全力で燃え盛り、他の蝋燭より輝いてなければ気が済まない人間だったのだろう。他人など自分の燃料に過ぎないと思い込んでいたが、実際に燃やしていたのは自分の幸せだった。そんな姿をフクロウ達は冷ややかに眺めていたに違いない。
 天涯孤独になった主人公にとって、フクロウ達は自分の代わりに思う存分羽ばたいて欲しかったに違いない。そうする内に、彼女の精神もまたフクロウと化した。そちこちからかすかに聞こえる先輩の羽音に導かれ、時にはつまずきつつも、立派に自分の力で幸せを勝ち取った。
 私としても祝福を惜しまない。

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