エルシーア海軍のスクーナー船「ロワールハイネス号」の艦長になった主人公の青年、シャイン。彼が託された「ロワールハイネス号」には船の精霊、ロワールが宿っていた。
そんなシャインと精霊ロワールの前に、数々の苦難が立ちはだかるのだが……
海を舞台にした長編小説を読んだのは、これが初めてかもしれません。
船の扱いとか、海軍とか。目新しい情報がいっぱいで、すごく興味深かったです。
しかも世界観やキャラクターが綿密に作りこまれていて、それらが絡み合うことで興味を惹かれる事件がいくつも起きます。さりげなく仕込まれた伏線が回収されていくところも、すごく気持ちよかったです!
とくに映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』とかが好きな方におススメ☆
海賊もしっかり登場しますよ♪
シャインのまわりで起きる事件の数々にドキドキ、ハラハラすること間違いなし!
なのですが……
個人的には、シャインの恋愛模様を追いかけるのも面白かったです。
読めばわかりますが主人公のシャインは、イケメンですごく魅力的な人物。彼は最終的に誰を長い人生の伴侶に選ぶのか?
最後の最後まで目が離せない物語でした!!!
新米艦長のシャインと彼の船に宿る精霊ロワールと、彼らの周りの人々の、確執と因縁から繰り広げられる物語です。
シャインに次々に降りかかる試練や育った環境がなかなかに辛く、ずっと寄り添って読んでいる分どうなるのか終始ドキドキしていました。
登場人物みんな個性的でそれぞれの人物味があり敵も嫌いになれない。
事が事だったこともあり解決したから終わりで終わらなかったシャインの葛藤は本当に彼らしかったです。
読了後は映画のシリーズを見終えたような達成感でした。
一章から面白いのですが、本格的に物語が展開しはじめるのは二章からなので、これから読む方はぜひまず二章まで読んでほしいです。
この航海の果てには、何があるのだろう。
偉大なるグラヴェール家の令息であり、エルシーア国海軍に属する主人公シャインは、若干二十歳にして、特別な船『ロワールハイネス号』の艦長となることを命じられる。そしてその船にはレイディと呼ばれる不思議な少女の精霊が宿っていた。昼と夜の境界がまじわる美しい黄昏時に、ふたりは運命の邂逅を果たす――。
海上では常に危険と隣り合わせであり、読者の冒険心がわき立つ海戦シーン(他国艦との戦い、海賊討伐、夜の嵐の襲来など)が盛りだくさん。地上では、活気溢れる港町の散策や、裏通りの誘惑。薔薇の咲き乱れるグラヴェール邸、そこから馬車へ乗り出かけていく豪華絢爛な夜会と、さまざまな場面転換が楽しめます。
物語が進むにつれ、序盤の頃には伝承としてのみ語られていた世界の謎が――人知を超えた神秘の扉たちが続々と開いていきます。一夜にして海へ沈んだ伝説の王国、海を統べる青の女王、神怪魚の絶品スープ(※諸説あり)、世界を司る神々たちなど。古き時代より、船乗りたちが語り継いできた海のロマンがぎっしりです。作中へ出しきれていない設定がこの広い海にはまだまだ存在しているようで、それら全ての資料をひたすら読み漁りじっくりと考察したいものです。
ロワハイ本編のほかにも、番外編や派生作品などが多数存在しています。ひと夏をかけて、この神秘の世界観にどっぷりと浸かってみてはいかがでしょうか。
青い海と空、船首が切る波の音、鼻腔をくすぐる潮風の匂い。大きな船というのはなぜこうもワクワクさせられるのだろう。現代のフェリーであれ、大航海時代の船であれ、船に乗るという行為そのものが遠くの地へ行くという、冒険の最初の一歩なのだと思う。潮風と共に脳裏に浮かぶ、見知らぬ外国の食べ物や、音楽、異国の衣装を纏う人々……。すぐに目的地につく飛行機や高速鉄道では得ることができない感慨を私たちは船に対して持っているのだ。それに、ホーンブロワーシリーズの海戦、海底二万里、バウンティ号の反乱、レイフ・エリクソンの北米到達、シャクルトンの帝国南極横断探検隊……、海洋冒険小説と史実の冒険も差がないくらいに、海をテーマにした作品はドラマ性に満ち溢れている。
本作、『ロワールハイネス号の船鐘』の物語は、海軍士官のシャインと船鐘に宿る精霊ロワールを軸として展開する。艦長としてロワールハイネス号を指揮するシャインにとってその船出は順調といえるものではなかった。船を襲う不幸や襲撃はやがてシャインの父であり反目しているアドビス、海賊、海軍の重鎮、そして母であり若くして亡くなったリオーネ、リュニス群島国へと繋がっていく。私たち読者は百三十万字以上の文字の海を航海するうちに、ロワールハイネス号の船員となって旅をしていく錯覚を覚えるだろう。
さて、個人的に勧めたいのが「月影のスカーヴィズ」・「碧海の彼方」の中盤から後半にかけての二編である。その二篇の気になるタイトルをあげていくと「裏切りの砲火」、「燃えさかる甲板で」、「四本指の男」、「父と子」等、目でなぞるだけで冒険と戦いと陰謀と人間ドラマにあふれていることが分かる。前半の謎をこの二篇で明らかにし、それでいて最後の謎にむけて話のスケールを大きく昇華させている。ぜひ、この篇まで読み進め、魅力的な登場人物たちの活躍を楽しんで欲しい。そこまで至ったならば最終篇の物語の骨子である最大の謎の解明と、シャインとロワールの結末を手に汗して読み解くことができるはずだ。
同じジャンルの映画などでよくご存じだと思うが、海洋冒険小説はその終わり方がたまらなく面白く、また深い余韻を持たせてくれるものである。王道の海洋冒険小説である本作の結末が、読者の期待を裏切らないことをここに保証しておきたい。
海を駆ける「ロワールハイネス号」という小さな縦帆船(スクーナー)を巡る物語です。
主人公であるシャインは、若くして海軍の士官となり、家柄も申し分ない、ある意味恵まれた境遇の青年。
ですが、彼にはその家庭環境故か、何処となく陰りが感じられるのです。
実直で飾ることのない爽やかな好青年の表情の裏に、見え隠れする仄暗い感情。
細やかな心情描写によって、読み手は自然とシャインの二面性に惹きつけられることでしょう。
そして、そんな彼を支えることになる二人の人物は、反面とても真っ直ぐにシャインを見つめてきます。
船の精霊、レイディ・ロワールは天真爛漫な立ち居振る舞いでシャインの心を癒してくれます。
シャインの右腕となる海軍士官ジャーヴィスは、不正を憎む潔癖さと嘘をつけない誠実さで彼の上官を補佐します。
この二人がいればきっと、シャインは苦難を悩みながらも乗り越えていけるのだ、と信じることができます。
彼等のような主要キャラクターは勿論なのですが、他の全ての登場人物が、それぞれの信念や思惑を抱いて行動します。
それを描き切る作者様の文筆力には頭の下がる思いです。
本作は海洋ファンタジーと銘打たれておりますが、心躍るファンタジー要素もさることながら、深く考えさせられる人間群像劇として読み応えのある物語です。
強く強くお勧め致します。
エルシーアという名の美しい海。
そこを舞台に繰り広げられる、「船の精霊」と海を愛する男たちの物語です。
まず船の描写が素晴らしい。作者の船に対する並々ならぬ愛情とこだわりが伝わってきます。
「船の精霊」などの不思議現象も出てはきますが、物語の大半が船と海軍、そして普通の人間たちである軍人・船乗りたちによって紡がれてゆきます。
そのため、異世界ファンタジーではあるけれど、まるで実在した歴史ロマンに触れているよう。
元気で愛らしい少女、「船の精霊」ロワール。
純朴で不器用な青年、シャイン。
この二人の触れ合いがほほえましく可愛らしく、目が離せなくなります。
「艦長」と「船」が絆を誓い合い、まるで結婚式のような儀式を行うだなんて、もうそれだけでロマンチック!
そして私の推し・多少堅物ながらも懐の大きさと気配りでシャインをサポートしてくれる副長・ジャーヴィスさん。
彼らが今後どんな活躍を見せてくれるのか、ドキドキが止まりません!
本当に、皆さまに自信をもってお薦めできる作品です。
船には、(精霊)レイディが宿っている。
それは、伝説ではなく、
選ばれた人のみ、見れるものでしょうか。
物語を読むと、
特別な人にだけ、見える美しいレイディの姿を、
主人公シャインと共に、見ることが出来ます。
神秘的な、船鐘を廻るファンタジーは、
読む人を、広大な海の冒険へ誘ってくれます。
繰り広げられるのは、
壮大な海を廻る、個性豊かな人物達の織り成す
人生の旅。
海賊たちを廻る、軍との攻防、
迫力ある船上の戦いを、目の当たりにします。
始まりは、ひとつの船鐘と、レイディ。
シャインと運命を共にする、
生涯を歩む、船との出会い。
海洋ファンタジーが好きな方には、
お勧めなことはもちろん、
はじめて、海の世界、船の世界に触れる方にも、
読んでほしい物語です。
船の知識が無くとも、
丁寧に、緻密に描かれる船上の様子は、
新鮮な驚きを持ち、船で歩む時間を
楽しませてくれます。
時に訪れる激しい戦い。
折り重なる思惑と、船鐘を廻る運命が、
交錯し、
シャインとレイディを、運命の渦に巻き込んで行きます。
次第に明らかになる、
物語の全容に、荒波のように激しく、
迫る過去に、
驚くことでしょう。
進む度、待ち受ける波は、
人生の深さを思わせ、
時に涙し、
海の様に深い、愛情に、包まれます。
潮の香と温度。 料理の味覚。
響く、船鐘に、五感で楽しむことが出来ます。
船鐘を廻る、不思議な力。
個性的な登場人物たちは、
それぞれの人生を生き、
正義と悪は、簡単に区切れるものではありません。
海賊たちとの戦い。
胸を焦がすような、身分を超えた恋。
魅力的な要素が詰まり、
飽きさせません。
船が動き出す瞬間。
文字を超えて、目に見える迫力があります。
いつの間にか、シャインの人柄に惹かれ、
この船に、乗り込む、
一員になる思いがします。