概要
ただ噛んでほしかった。噛むという行為だけがほしい。
噛むこと、噛まれることでしか生きている実感を得られない睦月は、同性愛者の英と暮している。ある日睦月は飲み会の席で友人の彼氏である黒崎と出会う。彼は美しい八重歯の持ち主だった。その歯に魅了され睦月は彼と関係を持ってしまう。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!終わりなき性のドミノ
サメは交尾しながら噛みつくという。人間のそれにも甘噛みくらいはあるが、噛まれることそれ自体が目的化した主人公と作品には初めてお目にかかった。
本作では世間並み(陳腐な表現で恐縮である)な性欲の持ち主になればなるほど一方的に割を喰わされる構造になっている。ただ主人公を観察していると、咀嚼(そしゃく)に近い行為はされても嚥下(えんげ)はされていない。精々同棲相手に血をなめられたくらいだろう。どのみち精神にせよ肉体にせよ、人が一度に頬張れる量には限界がある。嚥下しないのなら尚更だ。噛みつくという行為はまた、する側がされる側を固定するという一面もある。少なくともされる側の肉体の一部はする側に取り…続きを読む