カルト「鼻クソ教団」ができるまで ── 鼻クソ量産史(1)
ところで鼻クソを食べるのは悪いことだろうか? なにを食べようが勝手である。しかし鼻クソを食べるところを見せつけられるのを不快に感じる者は多い。だから世間体を気にせずに人前で鼻クソを食べてみせる
鼻クソを食い続けたにもかかわらず紀大は有名な私立大学に合格した。おなじ高校に通っていた同級生たちの多くが、暇さえあれば鼻クソを食っている紀大よりも低い偏差値の大学へ進学していった。
我が身からいずるもの。愛着など生まれないが捨てるには忍びない。ましてや小指の先についたそれを腕を伸ばせば届く壁や什器になすりつけるような社会性欠落者ではない。鼻クソを食うことを除けば紀大は常識人の部類に属する。どうしても鼻クソが捨てられない。だから口元へ運んでいるにすぎない。
もしや──毎日欠かさずに食べている鼻クソが健康にポジティブな作用を及ぼしているのではないか? そのひらめきは天啓のごとく紀大を衝き動かした。
おれの鼻クソはただの鼻クソではない。
その頃からである。
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