鼻クソ店主、大いに語る。その5完(雑誌インタビューから転載)

 Q.カルト教団由来の鼻クソの塩蔵漬けは、あと何年分くらいのストックがあるのでしょうか?


 A.現在の1店舗体制ならば数年分くらいは保ちそうですが──じつは支店を出さないかというお話を複数のベンチャーキャピタルから頂いています。出店数しだいによっては、あっというまに消尽するかもしれませんね。

 ところで、うちの店は渋谷にあるせいなのかIT業界のお客様が多いんですね。そのほかにも将棋や囲碁のプロ棋士の方々にもご贔屓いただいています。鼻クソ料理は頭脳労働による疲れに効き目があるのかもしれません。筑波大学の某有名若手准教授もお越しくださいますよ。予約は半年先まで埋まっているので、初期から鼻クソ料理を「うまい」とおっしゃってくれた常連のお客さんたちの足が遠ざかりはしないかと心配です。まだ出資を受けるかどうかは決めていません。

 万が一にそなえて「塩蔵鼻クソ」の再現に取り組んでいますが──まだ完成にはほど遠いです。ある常連のお客さんに試してもらったんですが──旨味やコクがぜんぜん足りないそうです。やはり熟成期間でしょうね。10年間じっくり寝かせた鼻クソの妙味や滋養ありきの料理ですから。


 Q.10年分の鼻クソ瓶詰ともなれば置き場所にも困るでしょう。どこで保管しているんですか?


 A. 多すぎるので一箇所で保管するのは無理でした。いまは自宅や店舗にわけて保管しています。単純な塩蔵は冷暗所に。梅酢と紫蘇につけた鼻クソは、夏季には取り出して陰干しを。


 Q.インタビューは以上です。ありがとうございました。


 A.ありがとうございました。

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