新装開店! 鼻クソ食堂

焚書刊行会

鼻くそ店主、大いに語る。その1(雑誌インタビューから転載)

 Q. なぜ、鼻クソを食材に使おうと思ったのですか?


 A. あるとき知り合いから「大量の瓶詰め鼻クソの処分に困っている」という相談を受けました。不祥事によって解散に追い込まれたカルト教団が貯蔵していたものだそうです。その話を聞いたとき、わたしは「2つ」のひらめきを得ました。

 ひとつは、死んだ親父の口癖です。「鼻クソは良い調味料になる」。

 鼻クソはヒトの細胞から滲み出たものです。ヒトから出ずるものであるならば塩分やタンパク質が含まれている。だから「うまみ」を備えているはず。「うまみ」を含むものは調味料として使えます。

 「鼻クソを使った料理」は新しいという確信がありました。新しいコンセプトの料理店は世間の注目を集める、運が良ければ繁盛するかもしれない。試しに「鼻クソ料理」についてインターネット検索しましたが、わたしと同じことを考えて実行している飲食店はありませんでした。前職(公務員)のルーティンワークに飽き飽きしていたので、思いきって脱サラしました。

 もうひとつのひらめきは、わたしが愛読している舞城王太郎先生の短篇小説『鼻クソご飯』(イキルキス所収)です。強烈な印象を与えるタイトルでした。現代ならばSNSでバズるのではないかというスケベ心もありました。

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