家から(あんまり)出ない系ファンタジー

 某あつまる森のごとく、自分で家を建てて自分の生活を始めてしまう系の異世界ファンタジー。しかし建てた場所が戦場のど真ん中だったので、のっけから遺体の埋葬と怪我人の救命を行うはめになり、ドラマが動き出す……といった塩梅。

 家の中でひたすらカップラーメンを食べるとか、白米を炊いて食べたくなる(米をキロ単位でちゃっかり購入している)とか、妙に素朴でリアリティのある心理描写に惹かれます。

 絶対安全領域のマイホームを軸にして徐々に話が進んでいくので、構成がスッキリしていて読みやすいのも〇。キャラクターの造形も親しみやすく、コメディチックな筆致を維持しつつ内面を描こうという、作者の方の意思を感じました。

 まるで新しい建物ができあがるのを見守るように、読み進めていける作品です。

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