トゲが刺さって抜けない。

 学生の時からの腐れ縁。ハルとアコは互いに気を許した、信頼のおける友人だった。男女の友情を恋愛に縛り付けようという揶揄もなく、その距離に心地よさを感じ、大人へと向かっていく。しかしずっと同じではいられない。ハルのある報告がすべてだった。

 恋人になりたかったのか、友人でいたかったのか。そういった関係性に名前をつけてラベリングすることは、なんだかこの作品においては無粋な気がします。相手に幸せになってほしい。好きな人に願うことです。ただ、その「好き」に明確な形はないし、連れ添うことで叶えられるわけでもない。ハルがアコを見透かしているような言葉が、トゲのように刺さって離れません。