読めば読むほど心に染み込む、美麗なハイファンタジー

「美しい、ただ美しい」

　この小説の素晴らしさを言い表すのは少し難しいかもしれない。というのも、内容が理解しにくいというわけではなく、何と表現してもこの小説の魅力を言い足りないのである。

　よくあるレビューのように「文章表現が巧みで凄い！」とか「登場人物たちの心情がまざまざと伝わる」などと安い褒め言葉を並べるつもりはない。この作品の良さは、それらの称賛を通り越した先にある言葉で褒めたたえなければ伝わらず、とはいえそんな言葉は見つからない。

　だから、私は直感的にただ「美しい」とだけ言いたい。

　世界観、言葉選び、戦闘描写、どれを取っても美しい。中でも、私は戦闘描写に心惹かれた。私の好きな数々のファンタジー小説に勝るとも劣らない、美麗で巧みな描写に感激した。

　もしかすると、多くの読者はこの小説を読み始めた際にどこか小難しさを感じるかもしれない。だが、しばし待て。一先ず読み進めて欲しい。すると、じわりじわりと何やら響いてきて、ふと気が付くと話にのめり込んでいるに違いない。

　だが、その理由を説明するのは難しい。

　だから、私はただ「美しい」とだけ伝えたい。

　推して知るべし、読んで知るべし。

　美麗なハイファンタジーの世界がここにある。