「”スピーディー”で、”ヘビー”」
この小説を一言で言い表すならこうであろうか。
まずは、話の展開、諸々の描写が速い、ここが「スピーディー」。と言うよりも、各所に無駄がないというべきなのだろうか。それ故に、オリジナルな要素も前情報が少なくても読みやすく、戦闘シーンも実に痛快である。
続いて、「ヘビー」。「スピーディーなのにヘビー?」と思うかもしれないが、ここでいうヘビーとは内容面の重さである。主人公たちは『ホシビト』と呼ばれる人間モドキ。姿形は人間と同じなのに、斬っても焼いても、モーニングスターで潰そうとも、平気。でも、だからこそ普通の人からは恐れられ、気味悪がられる。しかも、彼らは本物の化物『ボーン』とも戦わないといけないとくれば、その環境は劣悪である。
でも、そんな環境でも主人公たちは文句は言うが、普通の人間のように暮らしている。
だが、果たして全ての『ホシビト』がそうでいられるのだろうか?
ただ文句を言うだけで、この環境に我慢できるのだろうか?
抑圧された元人間の現化物たち、『ホシビト』のこれからの展開に期待しております。