もはや正気の沙汰ではない(褒め言葉)

小説賞への投稿というのは、想像以上の労力を要します。

まず執筆は、頭脳戦であり体力勝負です。
専業ならまだしも、学生なら学校、社会人なら仕事、家庭がある人なら家事と、公私全ての物事と並行して行われなければなりません。
やっと本編が完成しても、度重なる推敲に悩ましい文字数制限、そして便概作成が待っています。気が遠くなるような作業の連続なのです。
使い回しをするにせよ、作者様のように100回近く投稿するのは並大抵のことではありません! 

しかしこれ以上に厄介なのは、「落選」するというプロセスを踏まねばならないということです。
やっとの思いで投稿して、焦がれる思いで結果を待っても、賞レース上では恐ろしい程アッサリ落選させられます。しかも第一関門の一次審査すら、全体の10パーセント程度の通過率という狭き門なのです。(これは賞によりますが)

巷には「一次で通らない作品は小説以下」という説が溢れていますから、普通の人がここで落選しようものなら、簡単に心が折れてしまうでしょう。
しかし、この作者様は違いました。
『新人賞受賞は運=確率!』という仮説のもと、度重なる試練にも心挫けることなく、受賞の栄光を掴まれました。
素晴らしいの一言に尽きます。

しかしそれだけでではありません。出版業界や小説家の今後、私達の未来についても警鐘を鳴らす内容も含まれます。

小説家を目指す方、新人賞投稿を躊躇っている方、もはや心が折れてしまい筆を折ろうかと(!?)考えている方に、是非読んでいただきたい作品です。

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