数を書け。数を撃て。そうして「運」を引き寄せろ。

小説を書いていて「プロデビューしたい」と願わない人がいるでしょうか? それが「絶対に」であれ「あわよくば」であれ、ただの一度も考えたことがないという小説書きはほとんどいないと、私は思います。
本作は、プロ小説家として活躍されている一田さんによる、デビューのための実践論です。多数の作品を投稿するために必要となる速筆法、応募する賞の選び方といったお役立ち情報もありますが、それ以前に驚かされるのは投稿時代の応募数とその戦績。「これだけやる方がデビューできないわけがない」、そう思わされる内容となっています。
一田さんのおっしゃる受賞の「運」とは「確率」です。書いたからといってデビューの扉が開くとは限らないけれど、扉を開けたいなら書くしかない――そんなシンプルな真実が、読むと良く分かります。いま絶好調の方よりも、書いても書いても成果が出なくて諦めの気持ちが出てきている方に、おすすめしたいと思います。

その他のおすすめレビュー

岡本紗矢子さんの他のおすすめレビュー349