地震の夜・築地の少女

　33年間勤めた会社を辞め、新しい会社に就職したが、その会社はすでに解散が決まっており、私は清算業務のために雇われた期間社員に過ぎなかった。
　毎朝７時に築地に着き、会社が始まるまでコーヒーショップで憂鬱な時間を過ごしていたところ、登校中のボーイッシュな女子高生に魅せられた。
　３月11日、仕事中に大きな地震に見舞われ、避難場所の寺院に行くと、その少女がいる。私は、寺院の外で、その少女（レイ）と知り合い、彼女がストーカーに襲われているのを助け、親友になった。翌朝、彼女は探しに来た他の仲間たちと学校に帰ってしまった。
　やがて会社の清算業務が終わり、私はレイの姿を胸に秘め、思い出深い築地の街を離れた。