カプセルトイが大好きな主人公、出かけたときに機械を見つけるとつい回してしまうし、それ目当てで出かけることだってある。そして今日も出会うのだ。ちょっと不思議だったりよくわからなかったりするけれど、主人公にとっては大当たりなものたちと。
本作は1話あたり数百字で完結する連続掌編集なのですが、名前を始め設定不明な主人公の心の豊かさ、これが本当に味わい深くて染みるのです。
実は主人公、結構妙なものを引き当てます。でも、その「妙」にかならずいいところを見出して当たりだと喜べる姿は、その人柄をなによりくっきりと浮き彫っていて、読んでいるこちらまでうれしくさせられるのですよ。
ちなみに、それは当たりなのか? という回もあったりしますし、とある回で得たものを別の話で得たものと組み合わせて変なジオラマを作って慄いたりもしますが、それがまた主人公の愛すべき個性を魅せてくれておもしろい。
読むと心がふんわり和らぐキャラクター小説、勢い込んでおすすめします!!
(「日常の中に潜む非凡」4選/文=高橋剛)