勢いが止まらない、カッコいい美貌の令嬢(with護衛)が大活躍


 知る人も多い、あの〝古代都市ポンペイの(ヴェスヴィオ)火山噴火〟から、なんと物語は始まります。それゆえ、世界史に興味が無い方でもいきなり引きつけられるインパクトがあります。

 しかし、この物語の主人公コレティアは、それに負けない強烈な印象を放ってきます。彼女は属州総督の娘で、とにかく気が強い美貌のお嬢様です。それともう一人、そんな彼女の(いちおう)護衛役である青年ルパス。なにげにカッコいい彼もまたイイ味を出していて、彼らの軽妙な会話や、また、重いシーンでの心に沁みる言い回しも素晴らしい。
 
 粗筋は、コレティアとルパスの二人が、徐々に手掛かりを得ながら殺人事件の真相に迫っていくというものです。実はこの事件、帝国中を揺るがすとんでもない陰謀によるもの。そこに、訳ありな過去や心の深手が絡められていて、ストーリーを単純には終わらせないところが、個人的には作者様らしく、この作品の魅力だと感じました。

 美事な情景描写と緻密な状況説明、そして、豊富な知識によって実に忠実に描かれる世界観が、群雄割拠の古代ローマへ、ドラマチックな謎解きの旅へと連れ出してくれます。

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