勝気で、手ならぬ脚が早いお嬢様コレティアと、なかなか縁が切れない不幸な護衛ルパスが織りなす謎解き冒険譚です。
高校の世界史の教科書には出てこないティトウス帝という古代ローマのマイナー皇帝の治世のこと。
ちなみにティトウスは山川の世界史用語集にも収録されていません。暴君ネロと五賢帝に挟まれて、扱いが不遇です。
それはさておき、
物語はポンペイを滅ぼしたヴェスビオス火山の噴火から始まります。
偶然ローマで遺体を見つけたことから事件に乗り出し、アレクサンドリア、アンティオキアと当時の三大都市を巡って旅する二人。
物語はコレティアの出生の秘密や、ルパスのトラウマもからむ一大陰謀につながっていきます。
ご飯、交通手段、住宅、風俗などのリアルな描写は異世界ファンタジーの描写にリアリティを出すための参考にもなります。
主人公二人の距離感もいいですよ。
お勧めです。
ローマ史が好きな方なら、読むと良い。
ここにはローマの片鱗が確実にある。
主役である令嬢コレティアとその護衛ルパス
美貌の令嬢にして大の男を蹴り飛ばすじゃじゃ馬娘のコレティアは、作中の人物たちからは勿論、読者からも注目されるであろう。
だが、相棒であり護衛のルパスも負けてはいない、確固たる矜持を身に備えた男である。
この二人はそれぞれに持ち味があり、その掛け合い、洒落の利いた応酬は見ものだ。
また、帝政ローマの、或いは古代ローマの息吹を感じさせる描写は、作者自身の知識に裏付けされたもので、見事の一言に尽きる。
だから、重ねて言いたいのだ。
ローマ史が好きな方なら、是非に読むと良い。
その情景のみならず匂いや温度まで感じさせてくれる筆致が、帝政ローマの時代へといざなってくれるだろう。
誰もが振り向く美貌の令嬢コレティアは、屈強な男をも蹴り倒すスーパーウーマンだった!
自分より強い男以外の言うことなど聞かないと豪語するコレティアに振り回される青年ルパスは、コレティアと共にローマに迫りくる陰謀を阻止すべく、文字通り東奔西走する!
ヴェスヴィオ火山の噴火という史実の事件から始まる一連の騒動は、かつてローマを揺るがした内乱の再燃となるか。
帝政ローマ時代の出来事や生活様式、それに文章の言い回しが実に見事で、まるで講談を読んでいるかのよう。歴史好きな人には強くお勧め! そうでなくても、コレティアとルパスの凸凹コンビが見ていて微笑ましく、主従恋愛好きにも強くお勧め!
まずこの物語の特筆すべきところは、歴史背景がしっかりしていることです。
実際の歴史を元に独自の展開が繰り広げられ、知らず内にすっかり惹き込まれていきます。
知っている名前や地名ににやりとしたり、知っているのに驚きに満ちていたり。
様々な情報が入り乱れていく中、少しずつ真実に迫って行くこの妙が素晴らしいです。
そして、何より主役二人の関係性!
この、程よい距離感。この、テンポ良い粋な切り返し。
馴れ合いや甘々な関係ではなく、互いに徐々に認め合い、共に立ち向かっていく姿には一種の憧れさえ抱いてしまいます。
ルパスもコレティアも、それぞれのカッコ良さが際立っており、話が進むごとにその輝きが増していきます。
彼ら二人が、周囲の助けを借りながら、それでも彼ら自身の力で道を切り開き、進んで行く力強さは眩しいの一言です。
歴史と謎と心地良い二人の関係にどっぷり浸かれる、この物語。
是非とも、貴方自身で味わって頂きたい逸品です。
まず最初に言っておくが、俺はよく映画で見られる独特のやり取りってのが好きだ。比喩や揶揄がいりまじり、それだけで色んな空気が作られるような、そういう台詞が大好きだ。
そんな観点で見ると、この作品ではそれがよく出てるんだなぁ!ルパスとコレティア。この主人公とヒロインが織りなす台詞!お互い信頼していながらも、べた褒めとか依存とかしているんじゃなく、憎まれ口に近いながらもそれ一色じゃない!ここいらにぐっと来た!
失礼しました。
先に挙げた台詞や言い回しというものは一歩間違うと臭くなってしまい、途端に見る側が白けてしまうこともあります。そういう意味ではこの手法は非常にリスキーです。しかしそんな危険などどこ吹く風と言わんばかりに、決して臭いわけではなく、それでいてうまく作品の中である種の空気を作る。お見事という他ないです。
またそれだけでなく、こちらの作品ではこれでもかとばかりに古代のローマの情景や世界観、知識が披露されています。生半可な取材では到底たどり着けないであろうその量は素人は驚くと思います。古代ローマ関係素人の私が「こりゃ絶対敵わんなぁ」と思ったんだから間違いないですはい。
映画的な空気を楽しむもよし、古代ローマの世界に浸るもよし。いろんな楽しみが得られるこちらの作品、どうぞ手に取ってご覧ください。
勝ち気なお嬢様と雇われボディーガードの男が、とある殺人事件をきっかけにして、ローマ帝国に渦巻く陰謀に巻き込まれていく(というより、自分たちから突っ込んでいく)物語。
「謎解き活劇譚」のタイトルにふさわしく、殺人事件の捜査活動をしながら、時に本場ハリウッドも真っ青のアクションが展開されたりして、ヒロインがまさかの活躍を見せてくれます。
いや、ヒロインのコレティア嬢、ホントに凄い。
そこらの男性を尻に敷くほど強気な性格のお嬢様……ってだけなら、まあ結構よくある設定なんですが、なんとこのお嬢様、物理的にも強い。特に足技が凄い。
詳細は述べませんが、アン〇ェリーナジョリーやミ〇ジョヴォヴィッチに負けずとも劣らぬ立ち回りを見せつけてくれます。とんでもねえ……。
そしてこのコレティアのじゃじゃ馬っぷりに引っ張られていく、主人公のルパス。
彼も決して弱くない……いや、むしろかなり強いんですが、終始マイペースのお嬢様に振り回されている様子が、面白いけどちょっと不憫(笑)。
もうほんと、爽快なバディものですね。
まさに古代ローマ版「相棒」といったところでしょうか。
見事なエンターテインメント作品に仕上がっております。
そしてなにより特筆すべきが、作中舞台の描写!
古代ローマの歴史に関する作者さまの知識の豊富さもさることながら、まるで直接見てきたかのように精緻なローマの街並みや人々の暮らし、風景描写の見事なこと!
古代ローマに対する確かな愛情と情熱が、そこかしこから滲み出しております。
ってか作者さま、某阿〇寛よろしく、テルマエを通してタイムスリップしてきたんじゃね? ってくらい、描写が半端ない。これ熟読すれば、センター試験世界史の古代ローマ史の範囲はバッチリですよ!(だいぶ限定的)
さあさあ、「海外で優雅なバカンスを過ごしたいけど、お金も時間も無いわ……」と凹んでらっしゃる、そこのあなた!
この物語を読めば、なんと旅費額ゼロで、(古代)ローマの休日を体験することができますよ! なんてお買い得!
頼もしい二人と共に、わくわくどきどきの旅に出発しましょうぜ!
(ただし、ゆっくり休めるとは限らない)
いきなりポンペイの大噴火という歴史的天変地異から始まる本作。
主人公は、というより主人公を押しのけて物語の中心にいるのは、女神のように美しく、台風のように荒々しく、お姫様のように人使いが荒い、青い瞳の令嬢コレティア。
彼女とコンビを組むのが、主人公にして、コレティアの護衛を仰せつかったルパス。彼は、強いし、責任感はあるし、なにより頼りになる男。
大噴火の中、帰郷したコレティアと彼女の護衛ルパスは、港で「この噴火はアグニの呪いだ」という噂を耳にする。アグニといえば、インドの神様。その名がなぜ、ローマで出るのか?
そのちょっとした疑問から二人はある殺人事件に巻き込まれ、いや正確には巻き込まれたのはルパスで、コレティアは自ら首を突っ込んでいくのだが、そこから二人は帝国を揺るがすような巨大な悪へと立ち向かうことになる。
とにくかコレティアとルパスの二人の関係が楽しい。
美貌の令嬢であるにも関わらず、どんな事件にも興味津々。知的で、乱暴で、高貴にして華麗な、まさに戦女神。
彼女の護衛のルパスは、そんなハチャメチャなお姫様に、心の中で文句をたれながらも、時に彼女の盾となってその身を守り、火急の場合は腰のグラディウスを抜き放って奮戦する。
が、二人の間には表面上はまったく、相手を労ったり、思いやったりする態度はなく、出てくるのは毒舌ばかり。ルパスはコレティアの美貌に興味はないし、コレティアもコレティアで、まるでルパスを飼い犬かなにかの如く扱う。
が、いったん事件が起これば、二人の息はぴったり。二倍三倍の戦闘力でつぎつぎと危機を脱してゆく。
本作は、舞台となるローマ帝国をあちらこちらへと旅して、この二人が事件の謎を解決してゆく物語である。
当時の風習や文化が、まるでその場にいるような臨場感で語られ、食事や風景、建築物や服飾にいたるまで詳細に描かれている。ローマ人、ユダヤ人、ゲルマン人といった多民族の風俗や生活、宗教に至るまで丁寧に解説され、まるで精密に構築された美しい異世界を旅しているようだ。
広大なローマ帝国を、最強コンビが事件と謎を追って駆け巡る。
文句をいいつつも、必ずコレティアについてゆき、彼女を守るルパス。
憎まれ口を叩きつつも、絶対にルパスを手放さないコレティア。
行く先々の事件、危機また危機の連続へ率先して飛び込んでゆくコレティアと、巻き込まれてぼやきつつも絶対に引かないルパスの最強コンビ。
横たわる巨大な陰謀。歴史の闇。そして、二人の、それぞれの過去。
そんな闇も謎も悪も陰謀も、そして気に入らない男たちまでも、片っ端から蹴り倒して昏倒させるコレティアのハイキックの爽快感!
もしあなたが、『ローマ帝国』への『刺激的』な旅行を計画しているのなら、本作はうってつけである。
火山灰に埋もれた街、ポンペイは現代でもあまりに有名なイタリアの遺跡ですが、本作はそのポンペイがまさに死の街と化したヴェスヴィオ火山の噴火の瞬間から始まります。
父の赴任先からローマへ戻る航路にあった、元老院議員の娘のコレティアと、父から依頼を受けて彼女の護衛を務めるルパスは噴火の中で命からがらローマへ辿り着きますが、そこで不思議な言葉を耳にします。
今回の噴火は、インドの神であるアグニ神の怒りに触れたせいで起こったのだと──
その言葉を口にしていた男の死体をコレティアが見つけたことから、コレティアとルパスは殺人犯探しに乗り出します。
けれども、捜索するうちに謎はどんどん深まっていき、二人はローマ帝国を揺さぶる大きな陰謀の存在を知り、ローマや皇帝を守るべく東奔西走することに。
ローマの運命は闘いの女神ミネルウァの化身であるコレティアと、口は悪いけど護衛の腕は超一流の青年ルパスに委ねられた!
古代ローマを舞台にしたスケールの大きな活劇ですが、謎を追う二人が旅するあちこちの街並みや食べ物が、まるで目にしているかのように鮮やかにイメージできるのも、本作の魅力のひとつ。
二千年前に生きる古代ローマの息吹を、まるでタイムスリップしたかのように楽しめます。
また、ルパスとコレティアがそれぞれに抱える過去も、陰謀を暴く過程で明らかになってきます。
様々な場所を旅しながら、命の危険に何度もさらされ、それぞれの過去を乗り越えて、二人の息はぴったりと合っていきます。
クライマックスは手に汗握るシーンの連続です!
古代ローマの黄金のような輝きの中で躍動する二人の活躍をお楽しみください。
知る人も多い、あの〝古代都市ポンペイの(ヴェスヴィオ)火山噴火〟から、なんと物語は始まります。それゆえ、世界史に興味が無い方でもいきなり引きつけられるインパクトがあります。
しかし、この物語の主人公コレティアは、それに負けない強烈な印象を放ってきます。彼女は属州総督の娘で、とにかく気が強い美貌のお嬢様です。それともう一人、そんな彼女の(いちおう)護衛役である青年ルパス。なにげにカッコいい彼もまたイイ味を出していて、彼らの軽妙な会話や、また、重いシーンでの心に沁みる言い回しも素晴らしい。
粗筋は、コレティアとルパスの二人が、徐々に手掛かりを得ながら殺人事件の真相に迫っていくというものです。実はこの事件、帝国中を揺るがすとんでもない陰謀によるもの。そこに、訳ありな過去や心の深手が絡められていて、ストーリーを単純には終わらせないところが、個人的には作者様らしく、この作品の魅力だと感じました。
美事な情景描写と緻密な状況説明、そして、豊富な知識によって実に忠実に描かれる世界観が、群雄割拠の古代ローマへ、ドラマチックな謎解きの旅へと連れ出してくれます。
舞台は古代ローマです。
時代は丁度ウェスウィウス火山が爆発した頃。
『ウェスウィウス』は、ラテン語読みなのあれですが……。
日本だと、『ヴェスヴィオ火山』のほうが馴染みがありますか?
ぶっちゃけ、あれです。ポンペイです。
一晩で軽石や火山灰、土石流で埋まった街。
日本は当時弥生時代でした。稲作文化が定着した頃ですかね……。
その頃、ローマは上下水道が完備しているんですよ。すげー……。
そんな災害が起った頃。
時を同じくして、『この事件』が発生するのです。
「ウェスウィウス山の噴火はアグニの呪いだ」
そう言って死んだ男。
その死の謎を追うのは、元元老院議員の超お嬢様であるコレティアと、彼女の護衛を仰せつかったルパス。
二人は、男の死の謎を追ううちに、その背後にある大きな『事件』に気づき始めます。
聞き慣れない名前や地名に少し身構えるかも知れませんが、作者様が丁寧に語彙の説明をなさいますし、なにより、「空白」と「改行」を適切にいれてくださっているので、非常に読みやすい。
謎解きにも、ぐいぐい引き込まれ、気がつけば世界史の教科書でしか見たことがない人物もすんなり頭に入ってきます。
なにより、紀行文としても秀逸です。
物語はまだまだ中盤。
ぜひ、オトコマエな令嬢とイケメン護衛が活躍するこの物語を追って下さい!