5話目 ペルソナの私
私は華やかで、明るいものが好き。
ポジティブ&楽観主義の考えしかありえない。だから私はみんなが大好き!
・・・
というペルソナを、つけて私はずっと生きてきた。
何不自由なく生きてきた。
挫折もなかった。
挫折がないのは用意周到だからだ。
みんながやらないような、泥くさい嫌な準備、安全すぎる危険回避をするからだ。
はっきり言ってチャレンジ精神なんかない。
チャレンジ精神なんていうのは、なまけものの遊びだ。
あるいはなにもかも失った人間の、命懸けの行為であるはずだ。
私のように、絶対に失敗しないためには相応の準備があって
確実に成功出来ることにしか
手を出さないのなら失敗はないのだ。
つまらない女というならそうだろう。
しかし私は失敗するのは絶対に嫌だ。
ところがだ。
ところがですよ。
あのですね。
準備も、危険回避もへったくれもないのが52才というこの落とし穴だったというわけだ。
51では落ちなくてどうして52だったのか。
そんなのわかりませーん。
だけど、私は今どうしようもなくここでこうして生きていることに
違和感を覚える。
今まで夢中でやっていた最高に美味しいパンを焼くことや、素晴らしい肌ざわりの洋服を、作ることなんかが突然どうでも良いことに思えてきたのだ。
憧れていたはずのモナコのホテルだって行ってみれば別に、ふつーだった。
思うに、今はインスタだ、ユーチューブだので、人間たちに気品がないのだ。矜持なんていう言葉、もう死語なのだろう。
例えば一流のホスピタリティの何が気持ちいいか、それはその人の仕事にかける情熱を買うことができるからだ。
それなのに今の人間たちは何だ。
仕事に情熱を賭けたら時代遅れみたいな顔をして、インスタだのユーチューブだのに情熱をかけて、金を稼ぐという。けしからん!だから世の中から気持ちいいものがどんどんなくなっていくのだ‼︎
・・・
ほらね。
口を開けば昔じいさんばあさんが愚痴ってたようなこと言ってしまう。
ああ情けない。
おそるべし
52才!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます