どうした、52才

我慢できない

今まで我慢できてきたことが

できない。

本当にどうしたんだろう。

例えば、夫の実家で飲むビール。

私はいつも、我慢をした。

義母も義妹も飲まないから

私だけ女のくせにどうしたの？という目で見られるから

我慢していた。

ところが52才はもう、

我慢なんかしない。

夫に目配せをして

ビールを、注いでもらう。

気詰まりだけど、うまい。

長旅で来たのだ。

飲ませてくれよ、

もう、

私のことは諦めてください。

知ってますよ。お義父さん、お義母さんは私のこと、影で

「嫁さん」って呼んでること。

嫁さんらしいことなーんにも出来なかった嫁で本当にごめんなさい。

で、

今回私は、夫より先に家に帰ることにした。

寒いのに我慢できなくて。

夫の実家には素晴らしい羽毛布団がたくさんあったはずなのだが

なにせ、最近は義妹の息子や娘たちがたくさん泊まるから

私に回ってくるのは

昔ながらのまるで敷布団みたいな布団。絨毯みたいな毛布、

重い‼︎

寒い‼︎

帰る‼︎

仕事で大事な用事ができた、ということにして、

私は飛行機に飛び乗った。

雲海はまた

私の魂をふんわりと包んでくれた。

羽田空港に着いて、

また我慢ができない。

喉が渇いた‼︎

銀座ライオンに飛び込んで

大ビールセット！

朝の11時よ？まだ。

美味かった！

ガラス張りの向こうで人が見る見る。

お、朝っぱらから飲むねーみたいな。

でも一人、また一人と

勇気を得た男性たちが入ってきて

大ビールセットを注文する。

あ、これからリムジンで帰るのにトイレ我慢できなかったらどうしよう、と思ったら、トイレはちゃんと完備されていたのだった。