記憶というのはだいたい色々な補正がかかっている。 幼児期以前のものは特にそうだ。 物の大きさの印象は特にまったく当てにならない。 いいんじゃない。
何も特別な道具立てがなくても機縁だけで物語を組み立てられる筆力が素晴らしいです。さらっと読めて読んでいる時に楽しく、嫌な気分にもならない。良い作品です。
その赤ちゃんはくるくると回る円盤の存在に気付いていました。しかしその時にはまさか自分が将来それに乗ることになるとは思わなくて……。SFかと思わせる書き出しから始まるこの掌編ですが、引き込まれて読んでいくとまさかの帰結。とても見事、是非ご一読ください!
日常の風景の描写がうまかったです。執筆頑張ってください。
それは円盤です。幼いころに見た円盤でした。年齢を重ね、再び出会う円盤でした。短い文章ながら隠される円盤の正体。一文ずつ読み込んで、推理しながら読んでみると、最後の一文が頭の中にストンっと落ちてきます。
短編の中に面白みが詰まっています。その不思議な真実をあなたも紐解いてみませんか?
赤ちゃんなりに母親の様子を察してたり、本当に昔から繋がりのある地域の知り合いの人だったりと、子ども視点での世界の温かさを感じます。真相がわかった後も何故かファンタジックに感じる不思議な読後感。
かつて、人は誰しもが赤ん坊だった。その時の記憶を、果たして我々はどこまで保持できるのだろう。この物語の主人公は、赤ちゃんだ。だから回る円盤を見ても、あれが何か聞くことはできない。ただ、「あー」という言葉が出るのみである。そして成長した赤ん坊は、幼子となり、再び回る円盤を目にする。 果たして、回る円盤の正体は――? 短編のため、さくっと読めますが、最後には温かな気持ちにさせてくれます。 是非、御一読下さい。
最後の落とし方が綺麗だと思いました。また、全体的に詩的雰囲気ある文体も好きです。