みんなで《台無し》を作る即興群像劇「フィアスコ」について
諸氏等は、フィアスコというTRPGを御存知だろうか?
こんな記事を書きながら、この記事を書いている十月下旬に筆者はフィアスコのルールブックを持っていない。
だが、先日、知人に遊ばせて貰い、非常に感銘を受けたため、こうして筆を取らせて頂いた次第である。
そのため、フィアスコ玄人の方々からは「ド素人が何をいってやがるんだてめぇ」と御叱りを受けてしまう可能性があるが……そこはどうか、寛容な心で御寛恕の程頂けると幸いである。
さて、前置きはこのくらいにして、フィアスコというTRPGについて語りたいと思う。
フィアスコは「君と大惨事を作るRPG」という、何とも物騒なキャッチコピーのTRPGであり、アメリカ産の洋ゲーである。
だが、今日日は日本語版も発売されているので、英語が読めない諸氏等も安心して購入して欲しい。
英語が読めない筆者も大喜びで購入した。
まだ届いていないが。
それはそうと、このゲームがどんなゲームなのかという話だが、このゲームはいわゆる判定にダイスを使わないタイプのゲームである。
つまり乱数をあまり使用しない。
まるで使用しないわけではないのだが、少なくとも行為判定に乱数は使用しないタイプである。
しかも、GMが必要ないGMレス。
ここまでは、今日日としては「まぁ良くある会話主体のシステムかな?」と思われないでもないかもしれない。
本邦でも「Aの魔法陣」や「ゆうやけこやけ」など、乱数を極力使わないで遊ぶタイプのTRPGは既に出版されている。
このフィアスコもそうなのか? といわれると、少し趣が違う。
フィアスコは行為判定そのものにダイスやトランプを使用しないが非常にランダム性があり、乱数に依存しているゲームと言える。
それはなぜか?
理由を説明しよう。
そう、このフィアスコというゲーム、行為判定の成否かシーン演出のいずれか一つを必ず他のPLに委ねる必要があるのである。
フィアスコは「確立」と「解決」という二つのシーン作成手段が用意されている。
シーンプレイヤーを一人選び、シーンプレイヤーとなったプレイヤーはこのどちらかを必ず選ばなければいけない。
「確立」を選んだ場合、選んだシーンプレイヤーが自由にシーンを演出できる。
シーンの結末も自分で二通り準備する自由が与えられている。
だが、その準備した結末を選ぶのは自分ではない。
他のPLの話し合いの結果である。その結果には絶対に従わなければいけない。
それが嫌というなら、「解決」というシーン作成手段を選んでもいい。
これを選んだ場合、結末を選ぶ自由はシーンプレイヤーに委ねられる。
かわりに、今どんなシーンにいて、どんな選択肢を迫られているのかという状況は全て他のPL達に作られる。
そのため、どれを選んでも地獄! みたいなとんでもない選択肢を突きつけられても、必ず準備された選択肢から選ばなければいけないのである。
つまり、状況のコントロールが非常に難しい。
その上、ランダムに配られる御題や設定などもあり、これらがどんなに荒唐無稽で無茶苦茶な要求だったとしても、それだけは遵守しなければいけない。
しかも、必ずシーンの結末は「ポジティブ」か「ネガティブ」の二択の選択肢で終わらせる必要があるのである。
この二択こそがフィアスコに唯一存在する行為判定であり、極端に言えばクリティカルかファンブルしか存在しないゲームなのである。
ここがフィアスコの面白い所であり、GMなしでも遊べるギミックであり、簡単に話が台無しになる原因である。
だが、その台無しすらも、フィアスコは面白いのだ。
また、もし、諸氏等が皆同じ趣味を持った同好の士であるなら……実は、ある程度の状況コントロールが可能である。
何故なら、その趣味の範囲内で「観客が面白いと思ってくれる選択肢」を面白おかしく準備出来れば、ある程度の「ゲームメイク」が可能と言う事だからである。
こういった駆け引き要素もフィアスコの魅力であり、単純に「俺はこれが面白い!」という選択肢や演出を叩きつけられる部分もまたフィアスコの魅力である。
フィアスコの、「君と大惨事を作るRPG」というキャッチフレーズは真実である。
だが、筆者はこのシステムは遊んでみて、非常に優れた即興群像劇生成システムだと思った事もまた、事実である。
もし、この記事を読んでフィアスコに興味を持って頂けたのなら、是非とも、フィアスコで検索をしてみて欲しい。
筆者以外にも多くのフィアスコファンの皆さんが、このように推薦の記事を書いてくれている。リプレイ動画などもあるようだ。
是非とも、めくるめくフィアスコの世界をまずは覗いてみてほしい。
無論、買って遊んでくれるなら、それ以上の喜びはない。
水底雑記帳 うみぜり@水底で眠る。 @live_in_sink
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