負の感情は魔を呼び込む

 ある朝、海斗が凄まじい衝撃に目を覚ますと、視線の先には青空が広がっていた。
 ……いやいやいや、お前どこで寝てるんだよ、とツッコみたくなるような出だしだが、我々読者は次の瞬間ツッコんだ自分を恥じることになる。
 彼はなんと自室のベッドできちんと寝ていたのだ!
 天井には穴が開き、部屋の中はすっちゃかめっちゃかに散乱し……それもそのはず、なんとこの部屋の海斗めがけて雷が落ちて来たのだから!

 この瞬間から、彼の体の中には知らない女の子の意識が同居する(憑依?)ことになり、それと同時に不可解な事件に巻き込まれるようになる。
 彼の真面目過ぎる性格から、次々と起こる怪現象や謎の事件を解決していくというのがこのストーリーの形なのだが、どれもこれも怪しげな妖が友人たちにとり憑いた事で引き起こされている。
 
 彼の中に意識だけ同居を始めたミサキという女の子は、自分の名前以外の一切を覚えていない。記憶喪失らしい彼女は、妖との戦いの中で祝詞を唱え、魔封じの武士の家系の末裔として育った海斗を助ける。
 ミサキは一体何者なのか。記憶を失っているのに何故こんなことを知っているのか。

 海斗の周りを固めるのは、一途で健気な女性キャラたち。所謂『ハーレム』状態を構築しており、「そんな上手いこと主人公を女の子たちが取り合うわけねーだろ!」とツッコみたくなる構成なのになぜか納得させられてしまう。それは海斗の誰にでも好かれる性格故のことだろう。
 彼はとにかく『一生懸命』がヒトの形をして服を着て歩いているような男なのだ。あれは誰でも応援したくなってしまうだろう。悔しいけれど、私も応援してしまった、イケメン許すまじ!
 しかも女の子たちも思いやりがあり、大切な誰かの為に一生懸命生きている。もう、メインキャラみんないい人ばっかり。
 だからこそ、敵役の禍々しさが際立つというものだ。その辺りは実に見事。
 たまにしか出てこないが、出てきたら確実にメインキャラを食っちまう『お爺ちゃん』や『お母さん』も見どころ。イケすぎやろ!

 他にも、厨二心をくすぐる呪文や祝詞の数々、カッコええ決め台詞など、サービスも盛りだくさん。
 ぜひとも夜7時台にアニメで放送して欲しいと思う作品でした。録画しなきゃ!

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