少年は少女と出会い、リアルでは得られなかった大切な宝物を見つける。

ボーイ・ミーツ・ガール。ユータとセリカの出会いと成長の物語。
これは、近未来を舞台にしたSF小説である。
主に、厨時代というユニークなゲームの中で物語は進行する。
いや、舞台設定の方がもっとユニークかもしれないな。
・リアルでの娯楽が廃れて厨時代しか楽しみがない。
・フルダイブ（完全没入型）でありながら、自由にログアウトできる。

おいおい、リアルどうしちゃったんだ？とツッコミたくなるが、そういう設定のお話として納得しておこう。
大体、フルダイブだとログアウトできなくなってゲームの中に閉じ込められるというのがド定番で、某ラノベ・・・ソードアートなんちゃらどころかVRなんて存在しない時代からSFの定番である。
自由に行き来できる珍しい設定を活かして、同時に事件が起こるとか影響し合うとかそういうことは特になかった。次に期待か。

特筆すべきは、そのギャグセンス。木人ならぬ茶人が出てくる第17話クローン茶人の回では、ハイレベルなギャグセンスに終始圧倒されること間違いなし。
忘れてはいけないのが闘技大会に降臨した闇の神、ダーク・ウルトラゴッド。
本編では闘技大会以降の消息は不明だが、スピンオフが出てしまうほどの人気を誇る。さすが、我らが神ダーク・ウルトラゴッド！


全体的にあまり難しい言葉を使わず、子供にも読みやすい安心設計。
起承転結もしっかりしている。
ただし、ラストの評価は賛否分かれるだろう。（続編ありきのエンドだから。
回収しきれていない部分（親父越え、ミライ、鬼の力、バクとユータたちのその後、エストマルシェを含めた世界のその後、あとは赤林檎の部屋でできることって他にないのか？とか）は、次回作で。

読後は、誰もが「もっと厨時代の世界に浸っていたかった。続きはよ。」と思うことだろう。