人の中にこそ謎はある

謎というのは興味深いものです。
謎は最後に暴かれるために存在しています。
このミステリも同様にある答えが用意されています。
しかしとても切ない。
答え自体は普段からミステリなどを読む人は分かってしまうかもしれません。
ですが謎と解決のシステムに抗おうとする強さを兼ね備えています。
推理を重ねたとしてもそこにある人の願いや悲しみは暴き出すことが出来ないものです。
人の心理を語っていくことは不可能です。
そこに真正面から挑んでいるのです。
自殺の謎と妖精というキーワードを使って描かれるのは推理だけの作品にはない景色です。
何故自殺したのか、その答えが明らかになるとき私はとある推理小説のラストを連想しました。
それが何かは読者のみなさんが確かめてみてください。
きっと人によってその風景は変わるはずです。

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