意地悪なのに、ズルいよ。

 主人公には彼氏がいた。東京生まれ、東京育ちの彼氏だった。一方主人公には北海道と言う故郷があった。彼氏は主人公に、いつも意地悪な言葉を投げかける。「故郷に帰りたい=逃げ帰る」という感覚でものを言うから、主人公は「絶対に帰ってなるものか」と意固地になっていた。
 そんな中、主人公は就職活動に失敗し、ブラック企業に就職してしまう。もちろん、長続きはせず、短期で退社して体も心もボロボロだ。そんな時、故郷に帰って家族に泣きつきたいと思うが、やはり主人公は意固地になってしまう。意地悪なのに、彼氏は優しく、笑顔を向けてくる。意地悪なのに、そこがズルかった。
 再び職を探すことになった主人公は、ワインの買い付けから販売までを行う会社に就職する。そこで出会ったのは、やはり意地悪だが優しい専務だった。ここから主人公の恋は急展開を迎える。
 専務のことが気になり始め、ついには彼氏とケンカ。
 さんざん拒否していた故郷に、帰ってしまう。
 東京に戻った主人公を待っていたのは……。
 
 ワインの知識が豊富な作品で、それが作品を濃厚にしている。
 大阪に出てきた時の頃を思い出して、思わず主人公に過剰移入して懐かしくなってしまった。読み終えるまでの時間はとても短く、本当にあっという間に作品に引き込まれた。

 特に、都会育ちの人以外の人に読んでほしい一作です。

 是非、ご一読ください。
 

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