ギャグも感動もパワーアップ! 真面目なエンタテインメント小説

 数話で完結してしまったショートバージョンでは、その手のオタクの世界についていけるだろうか・・・と、多少の不安を覚えつつ読み始めました。

 しかし実際に手をつけてみれば、オタクといっても客観的にとらえられてあり、ある時は一種のエンターテインメント、ある時は真面目な純文学、それら二つの要素が融合されたものだったのです。

 ですから、このロングバージョンが出たと知った時には、「一話目からもう面白かったあのお話が、パワーアップして帰ってきた!」という期待で嬉しくなり、わくわくしながら読み出すことができました。

 そう、面白かったんです、短編からもう。真面目に笑いをとってくる狙った感のないギャグ。この題材でも、ちゃんと人間らしく書けるんだという衝撃。マイナスの先入観を初っ端から覆してくれた作品というのは、私の中で多くはありません。

 笑えるだけでなく、予想外に泣かせてくれる作品。ちょっと変わったお話も読んでみようかな・・・と思った方へ。そんな異色の世界をのぞいたあとでも、爽やかな読後感を味わいたい方に。胸が熱くなる、納得のラストが待っています。

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