Sランクの男は如何でしょうか?

キミノ ジユウ

第0.5章

0-1




 ファーストキスは十五歳の時。

 当時付き合っていた彼氏と自宅前の路上で。相手は慣れた様子で、震える子羊の私をがっちりと両腕でホールドし、それはもう熱い熱いキスだった。べろんべろんと舐め回され、口元は唾液でぬらぬらと光っていた。彼が帰るまで拭けなかった唾液はかぴかぴと纏わりつき、煙草の嫌な臭いと虚無感を残しただけだった。



 初体験は十八歳の時。

 絶対にこの人と結婚するんだと誓い捧げた処女は、特に可もなく不可もなく。二年間焦らしに焦らして及んだ行為は、前戯と呼ぶには長すぎたようで。それから半年で破局を迎えた。




 結婚は二十二歳までにしたいとか、子供は五人欲しいだとかそんな夢はもう見なくなった。大好きだった少女漫画も、今では妬みの的でしかなくなってしまった。恋愛なんて二十六歳干物女の私が出来るはずもなく、一人のクリスマスにも慣れた。




 いい人が出来たら、また、学生時代の様に夢中な恋がしたいな。




 そんな恋を諦めてしまっていた私の物語。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る