ハナミズキを飾る人は、優しい嘘をつく人でした。

 派遣切りにあい、親の借金を背負い、先が見通せなくなった女性が主人公。
 ネガティブ思考の主人公はその日、駅のホームで不思議な少年と出会い、人生が大きく変わる。チンピラに絡まれたところを助けてくれた「くのいち」のような女性に連れられ、ある土産物店に入り、そこで白髪で着流し姿のイケメン店長に出会う。その土産店は倉敷土産を昼の観光客に売る一方で、夜には訳アリのカフェバーとなっていた。
 ある出来事がきっかっけでネガティブ思考に拍車がかかった主人公は、店長に自分の生い立ちを話すことで、徐々に気持ちを外に出せるようになっていくのだが、店長には人に言えない過去があった。
 
 果たして、「冥途の土産屋」とはどういった店なのか?
 主人公の未来はどうなってしまうのか?
 そして店主が抱える秘密とは?

 個性豊かな『まほろば堂』の面々とのやり取りは軽妙で、事実としての重みはありながら、それほど重くならずに読むことが出来ました。
 また、岡山や倉敷の蘊蓄が満載で、まるで自分が『まほろば堂』にいて、主人公たちと同じ目線で物事を見たり考えたりすることが出来ます。
 一話一話の分量や展開も計算しつくされていて、ページを捲る手が止まりませんでした。
 
 是非、御一読下さい。

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