綾辻行人、島田荘司、鮎川哲也、京極夏彦……。
ここいらの作家が好きな人なら、まあ間違いなくハマるかと。
密室。なんと魅惑的な。
この小説のヒロインのように、恍惚としてブッ倒れるまではありませんが(笑
ミステリと言えば密室。嵐の山荘、絶海の孤島。
んで、現場の見取り図。風変りな探偵役と、いかにもな登場人物。
思わせぶりな伏線に、読者への挑戦状!
それらの王道に警察小説を掛け合わせてるのが、この小説。踊る大捜査線ですわ。
一粒で二度おいしい。硬派かつ、エンタメ性も抜群!
なぜ犯人は被害者を丸刈りにする必要性があったのか。
そこを考えるとヒントになるかと。異常性ではなく必然性です。
ガンガン一気読み! ぐいぐい引き込まれます。
作者の挑戦状に挑んでみませんか?
あ。私はまんまと一杯食わされましたけど(笑
プロ作家のトリック、これでも結構暴くんだけどなぁ~(笑
密室殺人事件に立ち向かう刑事達を書いた警察小説。
作り込みが非常に凝っています。ミステリではおなじみ『見取り図』まで作者により手作りされてるカクヨム小説なんて、中々お目にかかれないのではないでしょうか。
本作の一番の魅力は、その王道な本格ミステリとしての完成度の高さでしょう。末節に至るまで物語づくりに手抜かりが無く、徹底して『丁寧』なんですね。入念な捜査とロジックの積み重ねで容疑者を絞り込み、真実を追究する様を丹念に書き切っています。
専門用語もどんどん出てきますが、読者に分かりやすいよう配慮が行き届いている。警察小説の雰囲気作りに成功すると同時に、全く読みにくいことがありません。
キャラクター造形もこれまた良い。『密室刑事』琴子はかわいく、ただかわいいだけの女性では決して無い。探偵役には欠かせない、強い個性を持っています。
責務を全うせんと奮闘する若手の薄井刑事も然り。脇役達に至るまで、様々な人物描写が印象に残ります。
段階を踏んで進展していく捜査。さりげなく配された手掛かりや伏線。束の間のエピソードも積み重ね、いよいよ突きつけられる『読者への挑戦状』――ミステリ好きも、特段そうでない人も、惹き込まれることは必至でしょう。
果たして、貴方は犯人を当てられるだろうか?(自分には無理でした)
密室というミステリにおいてはある意味、お馴染みの題材を極限まで突き詰めた作品で、作者さんの密室へのこだわりを強く感じます。
なにせ、出てくる女刑事さんが〝密室専門〟という警視庁の中でも異端の経歴と能力(と性癖)の持ち主です。
そんな彼女が挑むのは〝二重密室〟とその中で死んでいた丸坊主の遺体の謎――。
伏線やミスリードを織り交ぜた丁寧な描写はもちろん、カレンダーや見取図といった付録も付いているので謎解きが楽しくなります。
(まぁ、これを書いている時点では、第一の密室に関してはサッパリ見当がつきませんが……)
……あと、関係ないですけど主人公格二人が密室でイチャコラしてます。(うらやまけしからん!)
警察小説である。新本格ミステリである。
舞台は、密室解明を専門とする『警視庁捜査第一課密室特捜班』。
主要コンビは、赴任したばかりの巡査部長・薄井顕と、警察庁長官を父に持つバリバリのキャリア・室井琴子。実は、この琴子さん、密室に関する特殊な性癖があって、なんとも悩ましい……いや、愛らしい。
警察小説には詳しくないが、たまに読むと「これは想像でそれらしく書いているな」と残念ながら興覚めした経験がある。
だが、本作にはその曖昧さやいい加減さが全く感じられない。
しっかりと下調べした上で描かれているのが伺える一級品だ。
名探偵が快刀乱麻に謎を解決するストーリーとは違い、刑事たちの地道な捜査が着実に解決へと繋げていく、犯人逮捕のシーンには思わず胸が熱くなる。新本格的な謎も提示されるが、幻想や想像には逃げず、余すところなくリアルな解釈で謎解きされる手腕には脱帽だ。
警察小説ってよく聞くけど何? というかたには、ぜひこちらをファーストブックとしてお読みいただきたい。
文章力、構成力、キャラクターの魅力。ここまで揃ってハイレベルな作品にはなかなか出会えない。本当である。
物語は、主人公・薄井顕(うすいあきら)が、『警視庁捜査第一課特別室』に赴任するところから始まる。
交番勤務からようやく念願の刑事となり、前途洋々に思えた薄井だったが、赴任先の室長は女子大生と見紛う見目麗しき年下の女性・室生琴子(むろおことこ)だった。
これだけでも薄井の新米刑事生活が前途多難であることは窺い知れるが、加えて琴子は警察庁トップの令嬢で、密室フリーク。おまけに『特別室』は密室事件専門の部署とくれば、波乱必至だ。
そこへ、おあつらえ向き? に密室殺人事件発生。早速『特別室』の出番となる。
殺人現場は鍵のかかったマンションの一室で完全なる密室状態。更に、防犯カメラには被害者以外の人物が部屋に出入りした映像は残されていない二重の密室だった。
はたして、新米刑事・薄井とお嬢様刑事・琴子は、『二重密室』の謎を解き、犯人を捕まえることが出来るのか?
本作は、『新本格ミステリと警察小説のハイブリッド』と銘打ってはいるが、ただ密室の謎を解き明かすだけの推理物に留まらず、主人公の二人・薄井と琴子を始め、被害者、被害者の家族、関係者、そして犯人の心情を丁寧に描くことにより、人間ドラマとして成立している。
願わくば二時間ドラマで観てみたい。
『浅見光彦シリーズ』や『赤い霊柩車シリーズ』のようにシリーズ化して、また、薄井と琴子に会いたい。
そう思わせる一作である。
カクヨムではあまり見ないタイプの本格派ミステリである。
物語は主人公・薄井顕が捜査一課――いわゆる殺人事件を扱う刑事ドラマとかでもおなじみのアツい部署である――に配属されるところから始まる。
そこまでなら、その辺に掃いて捨てるほどある刑事ドラマと同じだ。
しかし彼が配属されたのは〈特別室〉という謎の部署。しかもその室長というのが……。
ストーリーも気になるところだが登場人物たちも魅力的だ。
熱血漢や渋いオッサン、そしてうら若き令嬢とくれば、面白さ待ったなしである。
まだまだ始まったばかりの本作だが、作者さまによればすでに書き終わっているということ。
エタることのない安全保障付きとくれば、もう読むしかないでしょう。
スカスカなハイテンションノベルに飽きたひとたちに送る最高のエンターテイメント小説がここに。