睡眠中に見る夢って、唐突に始まり、得てして唐突に終わる断片的なものだろう。老いてからは「会社で延々と何かをし続けている夢」が多い気もするが、若い頃の夢はそうだったような気がする。
本作品は、そんな夢のような内容と言える(と思う)。
実際、鳥獣戯画みたいな内容だ。
兎と蛙ではなく、魚と鳥。喫茶店に入ったり、水族館に行ったりと、手足の無い魚の方の動きが気になるが、漫画と違って、小説では動作を描写せずにいられる。
辻褄と言うか、設定の「せ」の字も無い点が正に夢みたい。
全く異なるアプローチをしてみたい。
ピカソとダリは共に有名な芸術家だけど、支離滅裂で疑問符が頭の中で飛び回るような絵を描き、皆さんも「果たして尊敬に値する人物なのか?」と訝った経験をお持ちだろう。個人的にはダリの絵の方が、写実的に描いてくれる分だけ、ピカソより高い知性を持っていると思う。
本作品はダリの絵に似ていると思う。
短編にはMax2つが信条ですが、星3つ付けました。
寝る前のぼんやりとした頭でこの素晴らしい作品を読んで、「ああ、これはスゴイな」と思った。他の言葉は浮かばなかった。華美な修飾語やら大層な美辞麗句やらを書き連ねて褒め称えてやろうとも思ったが、なんだかそういったレビューはこの作品に合わない気がした。少なくとも私は。
文学でもなく青春でもなく恋愛でもなく冒険でもないけど、心や頭のどこかにスッと置かれるような、そんな淡い存在感のある作品だと思う。褒めてる、褒めてるよ! ちょっと気軽に読んでみて、「あ、これはスゴイんじゃない!?」って思ったら、もう少し真面目に読んでみるといいと思う。
当たり前の話だけど誰かが小説を読み始めたら後に残るのは読み終えられた小説か読み終えられなかった小説かどちらかしかなくて、誰かじゃなくて自分の話をするならば前者と後者の比は1:9くらいのものなのだけれど、結果論で言えばこの小説は前者だったので☆3つです、以上、終わり、としてしまってもいいのだけど続けると、この小説は多分、もし読み始められたらそれだけで読み終えられるタイプの小説なんだと思う。固有名詞のように使われる一般名詞。やたらと振りまかれるがなにも引き起こさない殺意。凄いことが当たり前になり誰も驚かない世界。読み始めてしまえさえすれば、読み終えるまでは手を引かれながら進めば自然と終わりの地点に着く。そういうタイプの小説。何かが起こっていく小説なのではなく、何かが起こってしまっている小説、あるいは、何かが起こってしまったなあという小説。そういう小説のことはまぁ、好きだし、やりたいこととかなりたいものとかほしいものとかがよくわかってないCQという子のことも多分、まぁ、好きです。