私の傷と、あなたの痕

 私には切り傷がある。


 腹部に20センチほどの消えない傷、というのは思春期の私にとって耐え難いモノだった。

 私はプールも海水浴も嫌いだった―――薄着になるから。


 あなたは私を傷つけた。

 でも、私はあなたを恨んでなどいない。感謝もしていないけれど。

 ……あなたに逢えて良かったもん。


 私は触れる。

 あなたは嫌がるけれど、今は……触れていたいの。

 いつも「ダメ?」と聞くと「ダメじゃねーけど。」と言ってたよね。なぞったら流石に手を引いちゃうのも、分かってるのにしちゃうの。謝ったあとに手を握ったら……握り返してくれるもんね?


 ……ありがとう。


 たった一言……言いたかったのに、ごめんね。本当に、ごめんね。


「何で、とまらないのかな。何で―――」


 あふれそうになる。いつもの感謝も、今はしない。


 せっかく。

















「私のプリン食べちゃうかなぁ!」


―――――――――

 なんというか。

 締めの一言次第で、分かれそうなモノを。

 プリンと出しただけで『冷蔵庫のプリン』『現代』『一般家庭』を出せたかな? という。

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