『清流を辿る』

 ※ 一文ごと、想像して欲しい。誰かいるのか。 ※


―――――――――――――


 『雌滝』


 めだき、と読む。


 一対の滝のうち、水量が少なく勢いの弱い滝を言う。


 最近調べた単語の意味を思い出しながら、一対の滝を望む。谷間の水辺の先に見つけた時は、二人で喜んだものだ。


 水沫が、風の渡る音がそして葉のさやぎが、冗長じょうちょうな言葉など不要だと感じさせた。


「……来て良かったな。」


「ふふっ……ありがとう。」


 水しぶきを懸念けねんして、腕時計は防水のものだ。いつも同じ時を刻んでくれている。……今日は特別だ。


 もうすぐ昼だ。滝殿では昼食の支度をしているのだろう、白煙が上がっていた。


「昨日、仕留めたから――」


「綺麗ね。」



 二の句が継げなかった。










――――――――――――――――

おや? と思って頂けたならば、場面を想像し直してみてください。

4通りくらいはあるかな……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る